1810年出版業者の家に生まれ、ロマン派というイメージにぴったりなさまざまな作品を作り、評論分野でも業績が高く、40代半ばで精神を病むこと甚だしくなり、ライン川に身投げ。運良く救われたものの、この後数年の余生を癲狂院に送り、1856年没。
妻であり、作曲家兼ピアニストであったクララ・ヴィークとの物語、訪問したブラームスを暖かく迎えた話、もう既にさまざまお聞きお呼びと思います。 *1
シューマンの曲調は、音楽の下に血が流れているのが判るとでもいった、生起に富んだものとでも言っていいでしょうか?柔らかくも、激しくも、牧歌的にもと、見事に変化していきます。
右上の映像は、シューマンの交響曲第1番《春》の第四楽章。
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書籍については、いままでもいろいろ取り上げましたので、その引用で済ませます!
シューマン自らの言葉を楽しむのも、また、伝記を通じてシューマンのさまざまなジャンルの名曲にどんなものがあるかを知るのも、面白いことであります。前者がシューマンの著作、後者が伝記です。
Look4Wieck.comの記事:ロベルト・シューマン著『音楽と音楽家』― 情熱を言葉に!
このブログの記事:新刊ご紹介!『作曲家◎人と作品 シューマン』を読みました
ご覧頂ければ幸いです。
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では、早速、名盤ご紹介と参りましょう!
昨年の10月にはじめたブログなので、シューマンの誕生日の記事は初めて。今回はシューマンを初めて聴く方向けにこれならと思うもので!
・・・そこで、いろいろ考えましたが、交響曲とピアノ協奏曲にしました。勿論、他にも良い曲がたくさんありますが、それは来年のまたの機会に。
はじめに申し上げますが、いつもの私の趣味で勝手に選んだものですみませんっ
まずは交響曲!シューマンの交響曲は四曲あります。2番以外は標題楽的正確が強く、といっても、聴いていれば(3番以外は)あまりそこは気にならないものと言えましょうか?形式も3番で5楽章形式を試したり、同じく3番と4番で楽章を途切れなく演奏するものとしたり、さまざま変わった試みもなされています。
これが先日のブラームスの記事(5月7日はヨハネス・ブラームスの誕生日でした! − 名著&交響曲他の名盤ご紹介)と同じ傾向になってしまうのですが、
まずはフルトヴェングラーとチェリビダッケの録音。
フルトヴェングラーが指揮すれば、いつだって情念がうずまく様ですが、シューマンにも合ってます。これを聴いて好きになった人が、「やっぱりこれは特別!」と言いたくなる録音でしょう。何と言っていいものやら、未聴でしたらぜひどうぞ!
フルトヴェングラーのシューマンの交響曲録音には、第1番と第4番があって、これが大概ハイドンとカップリングされたり、同じくシューマンの《マンフレッド》序曲と組み合わされたり、、、が、かつての状況でした。
・・・あらためて調べてみると、フルトヴェングラーの録音は著作権が切れて、方々から○○盤、××盤が出てほんとにややこしい状況です。
実は記事の遅れも、どれで買うと同じ録音を重複して買うことにならないかを調べていたのですが、、、半日使った結論は、どうやっても重複は起きそうですね。
そうなると、上に写真をつけましたDelta classicsのフルトヴェングラー指揮 シューマン:交響曲第1番《春》&交響曲第4番がいいのかなと思います。
次にチェリビダッケ!
晩年の正規録音では第1番を除いた3曲の録音。これもどれも実に良い録音です!表情付けが豊か。楽章によっては「遅い、、、」と最初は思っていても、気がつくと「こんないい音楽が!!」となると思います(遅い遅いといいますけど、楽章によりけりです)。
第2番はブラームスの《ハイドンの主題による変奏曲》とのカップリング、そして、第3番《ライン》と第4番を併せた一枚!
第3番《ライン》はのんびりした風景をのんびりながれる(と言い切れないかも知れませんが、、、)ライン河を描いた曲ですが、私は長らくこの曲を苦手にしていましたが、チェリビダッケの演奏で、「あっ!」と自分の中で納得がいきました。
チェリビダッケの録音は重厚で居ながらも、どこか透明さとか、軽やかさがあって、空間的に広がる感じも素晴らしいと思います。
シューマンの管弦楽に対するくぐもったですとか、なんとかいう評判もこれなどを聴くと、ピンとこないかも知れませんね!
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他にもいろいろと名録音はあります。ウィーンフィルとの第2番の録音が評判になったイタリア出身の指揮者ジュゼッペ・シノーポリにはドレスデン管弦楽団との全集があって、総じて快活かつ劇的な良い出来。まず全集で揃えたいという方には、安価でもありますし、魅力的では?
ちなみに上のYouTube画像はシノーポリ指揮ドレスデン管弦楽団による交響曲第1番の終楽章です。
他に乱暴に一言で言ってしまうと、激しく時に甘く、流麗なバーンスタイン、端正でこれはこれで貴重なサヴァリッシュ、牧歌的な(?)クーベリック(ベルリン・フィルとの録音の方がいいかなと1&2番、3&4番)等々内外含めてこういうところでしょうか?
ブラームスで交響曲全集を推薦したケンペに、シューマンの全集がないのが残念です・・・
聴いたことがないのですが、一つ気になるのが、アーノンクールがヨーロッパ室内楽団と録音した全集もあります。
全集と言っても、二枚組でさして高くもないので、ちょっと指揮者で聴き比べてみるということもしやすいです。商品写真がないものが多く、お見せできず済みません。
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交響曲だけで結構長くなりましたので、ピアノ協奏曲は次回に持ち越して、、、
とその前に、上にご紹介したチェリビダッケ指揮の第2番とのカップリングのブラームスの《ハイドンの主題による変奏曲》。「こんな柔らかいブラームスがあるんだ」というもので、さまざまな音の兼ね合いが気持ち良く、時折テーマの旋律は可愛らしく鳴らされて、最後の重厚な盛り上がりも素晴らしいです。これはやはり、一言せねばと!
最後になりましたが、いつもコメントいただくKenさんのブログにシューマンの各種記事一覧がございます。シューマンの音楽はほんとうにオーケストレーションがだめなのか?ということをマーラー盤と上のバーンスタイン指揮の全集で考察したり、オペラ《ゲノヴェーヴァ》を紹介したり、クララ・シューマンの紹介があったり、、、
聴き始めた方にも、判りやすく書かれたものですし、ぜひどうぞ!
ではまた次回!
*1 私の運営していますショップサイト Look4Wieck.com(るっくふぉーゔぃーくこむ)は変な名前なのですが、クララの旧姓から来ています。名前を付ける時に、なんにせよシューマン関係からと考えて、「ダヴィッド同盟.com、、、旧約聖書っぽいし、知らない人がみたら妙な宗教サイト、、、」「オイゼビウス.com、フロレスタン.com、、、も変かな、、、そもそも既にドメイン取られている」などと考えて、「クラシック音楽の探し物を助けるんだから、よくありがちなLook4で、、、Look4クララ、、、も変かな〜」と元ネタが判りそうで判らないクララ・シューマンの旧姓に。
クララと言えば、二人の大作曲家シューマンとブラームスに取って、かけがえの無い宝のような人。「宝物を探してください」などと云う想いを込めて・・・なんて言いますと、ちょっと無理があるのですが、そういうつもりで名付けました。(上に戻る)
なんだかお世話になりっぱなしで。
シューマンは、まだまだ先入観で評価されがちな作曲家であるにも関わらず、今日、こちらに刺激されて(と言うと大袈裟ですが)綴った記事(「予言の鳥」を採り上げた、本当に個人的なもの)で先入観の上塗りをしたところです。
交響曲は、音色を出す演奏が難しいものばかりですが、スコアから抱くイメージと実際に演奏してみてのギャップが大きいのは「ライン」です。でも、上記でご紹介のものの中でもバーンスタインが意外にいいかな、と思っております。(サヴァリッシュ、シノポリ、クーベリック・・・みんなきいたけど、チェリビダッケは落とし穴でした! そのうち聴いてみなくっちゃ! 実はいちばん良かったりして!