2008年08月14日

作曲家のDVD特集です 第三回 −ベンジャミン・ブリテンのおすすめドキュメント『The Time There Was』

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最近続けております作曲家のドキュメントDVD特集。前回、前々回のリンクは以下の通り。

作曲家のDVD特集です 第一回 − ベラ・バルトーク『Roots ルーツ』
http://sergejo.seesaa.net/article/104594099.html

作曲家のDVD特集です 第二回 −『Sibelius シベリウス』
http://sergejo.seesaa.net/article/104694958.html

ベンジャミン・ブリテンのドキュメント『A Time There Was』の商品写真今回の第三回目は、イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテン Benjamin Britten (1913-1976)のドキュメント『The Time There Was』監督&編集はトニー・パルマー Tony Palmer、1979年の作品。公私ともにブリテンのパートナーであったピーター・ピアースの依頼で作成したとのこと。

これは見やすさも内容も実に良く出来ていて大変お薦め!ブリテン好きの方にも、これから聴いてみたいと思う方にも、はたまた音楽は兎も角英国好きの方にも楽しめるものと思います。

ベンジャミン・ブリテン おすすめDVD:『The Time There Was』内容紹介(ネタばれなし)


DVDの仕様は、

All Region (Code 0) 〜 AmazonではRegion1となっていますが、0でした。

NTSC 16:9 103分(横長画面です)

仕様言語:英語

字幕:なし

本作品もいま現在輸入盤のみ。これなどは日本語盤だすなり、NHKで放送してくれれば。。。私が知らないだけで、過去に放送したことがあるかも知れません。

上の通りで、日本のDVDプレイヤーでも再生可能。字幕もないので英語で聞く他ないですが、すごく早く話すわけでもないので、英語の勉強と思ってトライされるのも良いかも知れません。

ブリテンの人生を追うものですが、やはり現代の作曲家だけあって、家族は勿論、友人知人、音楽家のインタビューを元に構成。ブリテン自身の映像やインタビュー、ピアノの演奏姿、指揮姿もあって、それだけでも興味深いものでしょう。

伝記を読んでも、作曲家の住んだ環境や語り方、交友関係などはどこか想像し切れないところがありますが、こうやって実際に交流のあったさまざまな人物の口から語られ、そこに写真のみならず、実際に作曲家の足跡をたどった映像や当時のプライヴェートフィルムなどが重ねられて、ブリテンという作曲家が大変近くなった気が致します。

編集がうまいというのか、人生を年代順に追いながらも、なかなか飽きない作り。とは言え、安っぽいドラマ化を狙っているわけでもなく、親しみやすさと真面目さが、うまくバランスのとれた良心的作品と思います。

バランスと言えば、私生活と音楽活動もなかなか良いバランス。全体的にはオペラ作品を中心にまとめていきますが、その他の作品は勿論、少年時代の音楽生活、師のフランク・ブリッジとの出会い、バリや日本に旅行して知った音楽の影響などなど手際よく言及されていきます。

英語でしか聴けない・・・というところがちょっと残念ですが、ベンジャミン・ブリテンのドキュメント『The Time There Was』ぜひお楽しみください!

ベンジャミン・ブリテン おすすめDVD:『The Time There Was』内容紹介(ネタばれあり)


以下、ネタばれありですが、特に「英語が苦手・・・」という方に、何かの助けに内容の片鱗を記載しておきます。途中途中にオペラ作品について、長く取り上げられるのですが、これについては非力にてまとめようが無かったので、すっかり省いたこと先にご了承ください。

冒頭は、バーンスタインの言葉から、「ブリテンの音楽には、必ず暗いものがあるんだ、、、」。写されているのは故郷の風景と思うのですが、どこか閑散として美しい景色です。

その後、ブリテンの兄弟、姉妹、従兄弟のインタビューに移り、生まれた頃に遡って家族の話を始めます。随分可愛らしくて繊細な子だったけれども、芯が強くて腕っ節もあった由。

そして、ピーター・ピアース Peter Peersのインタビュー。活発で明るい子供も、段々大きくなるに連れて、disillusionedになった、信者でもなかったけれども、他人への愛情は十二分に持っていた等々と語ります。ピアースは、全編にわたってブリテンの内面にも踏み込んだコメントを残します。ブリテンとはRoyal Collegeの頃からのつきあいで、卒業後一緒に部屋に借りてから共同生活が始まったようです。

指揮姿とスヴャトスラフ・リヒテルとの連弾の姿を映した後、作曲家本人のインタビューが初めて入ります。「5歳頃から作曲を始めたかな〜」と回想を始め、10歳の頃フランク・ブリッジが指揮するコンサートに行ってブリッジ自作の管弦楽組曲《The Sea 海》を聴いて大変印象に残ったこと、もう少し大きくなってからブリッジを尋ね、弟子になったことなどを語ります。

インタビューや風景だけでなく、折々のドキュメントフィルムがあって中々面白いです。1930年頃から暫くは、ニュース・ドキュメントに音楽を作曲したりという仕事をしていた様子。そういったフィルムが幾つか出て来ます。

プライヴェート・フィルムもうまく挿入されていて、そこに家族やアシスタントの方のインタビューが重なり、私生活を活き活きと描きます。成人後も実家に居る時は、母親にすっかり世話になって、ブリテンの部屋をあけるとタバコの煙で充満していたり、、、などなど。

良心的戦争忌避者として、第二次大戦中の一時期アメリカに渡ったブリテン。そこでも音楽的な集まりがあって、あのアインシュタインなどが尋ねて来たこともあったそうです。ブリテンとピアーズを聴いて、アルバート・アインシュタインは「二人は才能がある。随分なところまで行くだろう。」と語ったそうな。

25,6歳の頃には、一時作曲家を辞めて、普通に働いて暮らそうと思ったこともあったとか。(ここでまたイギリスに戻ったと思うのですが、、、)そんな悩みの時期に母親が「海辺でも行ったら」と。海岸沿いを車を狂ったように飛ばして、とうとう翌日また書き始めたそうです。

ブリテン本人のインタビューもいろいろとありますが、仕事は毎日比較的きっちりと決まった時間にするのが好きだったそうです。そこにアシスタントのImogen Holst女史という方が出て来て、仕事が大変早くて結構大変だった由。あれを書き終えたら、もうこっちを書いているという様子で、Holst女史が目を丸くして話している様がなかなか印象的でした。

(ちょっと小生の記憶がおぼろげですが、、、)15,6の頃から、作曲家になると固く決心して居たそうです。その頃、将来なんになる?「作曲家」「他は考えてないのかい?」「作曲家、なにがあろうと作曲家」といった会話をしたとの回想話がありました。

ブリテンが特に敬愛した作曲家は、モーツァルト、バッハ、パーセル、シューベルト。

なるべく役に立つ useful音楽を書こうと考えていたそうで、小さなオペラを書いたのも、どこででも演目に掛かることを考えたが故と。ブリテンの口から、役に立つ usefulという言葉が何回か出てきたのが印象的でした。併せて、聴衆は勿論、演じ手、弾き手の心に訴えるものにしたいと。あまり小難しくならず、なるべく多くの人に楽しんでもらえることを心がけたという意味かと思います。

多忙ではありながら、インド、日本、バリ島に旅行。バリの音楽そして、日本の能には大変興味を持って、後の仕事にも影響したとのこと。東洋の影響は、リズムの多彩さのみならず、表現に激しさ・苛烈さをもたらしたとのこと。

晩年の様子がさまざま映し出されますが、工場を改築して郊外にコンサートホール&オペラハウスを開いた模様が紹介されます。工事現場に足を運ぶ姿、、、完成時のエリザベス女王のスピーチも出て来ました。車いすで過ごすようになった晩年ヴェニスに滞在した時の様子なども。

オペラは上述の通りこのDVDで各作品詳しく紹介されますが、最後の『Death i Venice ヴェニスに死す』は、その中でも長く扱われます。

そして、葬儀の模様。

ベンジャミン・ブリテン 輸入盤DVD:『The Time There Was』のAmazonの商品頁を開くピアースとの関係は青年の頃から晩年まで続き、仕事だけでなく私生活でも愛しあう仲。彼が作品紹介するコメントにはきっとブリテンと語り合った内容も入っているのでしょう。終幕の方で語る言葉が実に印象的でした。「彼は私に大変尽くしてくれて、この上なく親切で優しく、大変素晴らしい関係でした(中略)彼が私に持ってくれたほどの信頼は、私には到底なし得ないほどです」

では!皆様もこのかなりおすすめなベンジャミン・ブリテン 輸入盤DVD:『The Time There Was』をぜひご覧下さい。
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posted by sergejO at 23:54 | Comment(2) | TrackBack(0) | 名盤・推薦盤!(含むDVD)
この記事へのコメント
拝読しただけで「見たくなる」ドキュメントです。
そそられます!

日本には「鎮魂交響曲」を送ってきたせいか、なじみ深いのに意外と聴かれていない作曲家のような印象を持っていますが、エピソードも多いし(ショスタコーヴィチとの交遊なども印象深いですよね)、自作自演の演奏は優れたものばかり残っているし、なにより「正統イギリス」の音がするのが大変好もしい作曲家ですし。かく言う私自身、常識的に有名な曲以上には知りませんけれど、知っている曲は、みんな好きです。「ピーター・グライムズ」を、まだ全曲聴いたことがないんです・・・組曲が素敵なんで是非ききたい、みたい!
Posted by ken at 2008年08月15日 23:46
>なじみ深いのに意外と聴かれていない
かくいう私も結構有名曲だけで、最近もっとちゃんと聞いてみようかなと。

そうそう、作曲家との交流の情報は先生のブリッジ以外出て来ませんでした。

英語オペラって、一応英語を習っているから言葉も判りやすいもっと聞かれてもいいのかな〜とRVWのオペラなども含めて、最近思います。
Posted by sergejO at 2008年08月16日 02:16
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