昨日の記事では、2008年9月20日の東京は四谷 紀尾井ホールでのペーター・レーゼル Peter Rösel のリサイタルについて、(いつも通り)お粗末ながらな感想を書いた上、発売されているレーゼルの室内楽曲集(8枚組)をご紹介致しました(昨日の記事はこちらからご覧下さい)。
本日は、レーゼル特集の第二回で、おなじくedel CLASSICSから発売のピアノ独奏曲集 Works for Piano 13枚組をご紹介致します。実はボーナスCDもついて14枚組。
バッハ(但し、ブゾーニ版!)からストラヴィンスキーまで、オーストリア&ドイツ、フランス、ロシアとさまざまな国の作曲家を集めて居り、レーゼルの独奏者としての全体像が見渡せるセット。
ロマンテックな曲、幻想的な曲で、客観的な距離感を持ちつつ、それでも微妙に熱がこもりはじめて・・・とでもいった演奏が好み。
昨日のコンサートに行かれた方には、演目にあったべートーヴェンのピアノ・ソナタの内、《テンペスト》と《ハンマークラヴィーア》が収録されています。30代の録音で終始きちんとコントロールされた良い演奏。他にべートーヴェンでは、第18番と第25番も入っていて、これがまた有名曲ではないですが良い曲で、また、いい演奏です。
ブラームスが13枚中、5枚と一番割合を占めますが、これはブラームスのピアノ曲集としても(メジャーとは言えずとも)世評は高く、なかなかお目にかからない曲もあって、大変お薦めです。
レーゼル・ファンならずとも、ピアノ曲をいろいろ聞いてみたい!という方には良いセット。選曲も所謂有名曲に偏って居らず、かといって、それがないわけでもなく、一風変わっていて面白いものです!
華やかなピアニストとは言えませんが、地味が悪いというわけもなく。機会があればご一聴を。
では詳細の曲目でありますが・・・
ピアノ独奏曲集 Works for Piano(13枚組+1ボーナスCD)の曲目詳細
CD1:フェルッチョ・ブゾーニ編曲版バッハの楽曲集
・シャコンヌ ニ短調 BWV1004(原曲はヴァイオリン・ソロ)
・プレリュードとフーガ ニ長調 BWV532(原曲オルガン)
・トッカータ ハ長調 BWV564(原曲オルガン)
・今ぞ喜べ、愛するキリストのともがらよ BWV.734(Nun freut euch, lieben Christen g'mein, コラール)
・いざ来たれ、異教徒の救い主よ BWV.659(Nun komm' der Heiden Heiland, コラール)
・汝にこそわが喜びあり BWV.615(In dir ist Freude, コラール)
・目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声 BWV.645(Wachet, auf, ruft uns die Stimme, コラール)
録音:1986年
CD2:べートーヴェンのピアノ・ソナタ その1
・ピアノ・ソナタ第17番 へ短調 Op.31-2《テンペスト》
・ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調 Op.31-3
録音:1984年
CD3:べートーヴェンのピアノ・ソナタ その2
・ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 Op.31-2《テレーゼ》
・ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 Op.106《ハンマークラヴィーア》
録音:1979年
CD4:J.ブラームスのピアノ曲集 その1
・ピアノ・ソナタ第1番 ハ長調 Op.1
・ピアノのための6つの小品 Op.118
・スケルツォ 変ホ短調 Op.4
録音:1972-73年
CD5:J.ブラームスのピアノ曲集 その2
・ピアノ・ソナタ第2番 嬰ヘ長調 Op.2
・自作の主題に基づく変奏曲 Op.21-1
・ピアノのための8つの小品 Op.76
録音:1972-73年
CD6:J.ブラームスのピアノ曲集 その3
・ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 Op.5
・ロベルト・シューマンの主題に基づく変奏曲 Op.9
・ピアノのための4つの小品 Op.119
録音:1972-73年
CD7:J.ブラームスのピアノ曲集 その4
・ヘンデルの主題に基づく変奏曲とフーガ Op.24
・四つのバラード Op.10
・三つの間奏曲 Op.117
録音:1972-73年
CD8:J.ブラームスのピアノ曲集 その5
・パガニーニの主題に基づく変奏曲とフーガ Op.35
・七つの幻想曲 Op.116
・二つのラプソディー Op.79
録音:1972-74年
CD9:C.ドビュッシーのピアノ曲集
・子供の領分
・ベルガマスク組曲
・版画
録音:1980-81年
CD10:モーツァルトの作品集
・ピアノ・ソナタ ヘ長調 KV553/494
・ピアノのためのアダージョ ロ短調 KV540
・デュポールのメヌエットに基づくピアノのための9つの変奏曲 KV.573
録音:1982年
CD11:ムソルグスキーの作品集
・《展覧会の絵》
・スケルツォ 嬰ハ短調
・Une Plaisanterie
・Une larme
・インターメッツォ ロ短調
・ゴパック Gopak
録音:1971年
CD12:シューベルトの作品集
・幻想曲 ハ長調 《グラーツ》
・メヌエットとトリオ ト長調 D334
・アレグレット ハ短調 D915
・三つのピアノ小品 D946
・アダージョ ホ長調 D612
録音:1974-75年
CD13:R.シューマンの作品集
・パピヨン(蝶々)Op.2
・交響的練習曲 Op.13(交響曲的練習曲のための五つの変奏曲含む)
録音:1978年
ボーナスCD:ストラヴィンスキーのピアノ曲
・サーカス・ポルカ
・《ペトルーシュカ》からの三つの楽章
録音:1978年
こまかく言えば、最初の一枚のブゾーニ編のバッハ楽曲集も、レーゼルの一歩引いたアプローチといいますか透明感のある大変奇麗な演奏で、良いですし、CD11やボーナスCDのロシアものもさすがロシア留学経験者という共感に溢れた演奏。ムソルグスキーは小曲が幾つか入っていて、なかなあか普通聴かないものでは?ムソルグスキーなどなかなか迫力のある名演でしょう。
シューマンも左手が明確で、きちっとしていながら、重厚な様で重々しくならず素敵です!
・・・などと書いていくとキリがないのですが、まだお聞きになっらっしゃらなければご検討されては如何でしょうか?
では!
ペーター・レーゼル その他のおすすめ名盤:edel CLASSICSの廉価版Boxセット
レーゼルのCDの大半は、国内盤ですと徳間ジャパンから発売されています。一枚一枚徐々にお買い求めになる場合は、この国内盤が良いでしょう。
Look4Wieck.comでみる徳間ジャパン発売のレーゼルのCD一覧
結局、5枚、6枚と変われる場合は、edel CLASSICSの輸入盤のBoxセットが安価となるので、お奨めです。
以下、補遺ながら、edel CLASSICSから発売されているペーター・レーゼルのBoxセットの他の二つを簡単にご紹介しますと・・・
ピアノ協奏曲集 Piano Concertos(10枚組)
ベートーヴェンとラフマニノフのピアノ協奏曲全曲を中心に、ハイドン、シューマン、チャイコフスキーらのピアノ協奏曲を収録。《魔弾の射手》のウェーバーに一枚分割かれ、その協奏曲が1番・2番ともに収められているのは、ちょっと風変わりなところ!
演奏はライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で、指揮はマズーア、ザンデルリンク、ケーゲル、ブロムシュテットほか多彩な顔ぶれ。
私見ながら、独奏曲同様、ロマン派&ロシアものが特に面白いと思います。
詳しくは、弊ブログ 2008年9月22日の記事をご覧下さい!
室内楽曲集Chamber Music(8枚組)
シューベルト、シューマン、ブラームスの室内楽がメインですが、フランスのヴァイオリン・ソナタやちょっと変わり種はホルンとピアノのための曲を集めた1枚もあります。
曲は、いいものが多いので、室内楽を聞いてみたいという方にも、お薦めできるやも!
カール・ズスケ在籍当時のゲヴァントハウス弦楽四重奏団も共演しております。
詳しくは、弊ブログ 2008年9月20日の記事をご覧下さい!
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