2008年10月20日

チャールズ・アイヴズの誕生日にちなんでご紹介 − おすすめ名著&名曲:交響曲《ニュー・イングランドの休日》by マイケル・ティルソン・トーマス指揮/シカゴ交響楽団

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本日は、チャールズ・アイヴズ Charles Ives(1874-1954)の誕生日。このブログの“広く浅くなんでも取り上げよう”の方針で、簡単におすすめ名著と名曲(迷曲!?)をご紹介しようかなっと思います。

アイヴズはアメリカの北東部コネティカット州(ニューヨーク州の西)生まれ。イェール大学で音楽を学び、その後は保険のセールスマンとして勤め人をした後、保険会社を共同で運営しながら、私生活では作曲に打ち込んで・・・とここまでの、話はみなさま聞き及んだことがあるかと存じます。

私のイメージを一言で言うと、「なんだ、この人は!?」。その曲は、世俗的なのか、崇高なのか、内面的な何かの吐露なのか、すっかりトンデるのか、高度に実験的なのか、めちゃくちゃなのか、、、陰鬱な不協和音が重々しく鳴ったかと思うと、いきなり夏祭りのドンチャン騒ぎになって、ラッパがぱっぱらぱーーーっと、「なんだ、この人は!!」です。

養子の娘さんが、「うちの父は、楽器をやたらに使った曲を書いていて、コンサート・ホールの舞台にお客さんを上げて、オーケストラが客席についた方が、いいくらいなの・・・」なんておっしゃったこともあるそうです。言い得て妙です。

聞いていて思わず吹き出してしまう、なんて作曲家はめずらしいです。わたしもいい加減なので、そんなところで楽しんで居ります!

さて!そんなアイヴズを身近に感じる一冊が・・・!

おすすめ名著 Vivian Perlis篇 Charles Ives Remembered: An Oral History(アイヴズ回想録)

これが、洋書でしかでていないのが残念なもの。アイヴズ関連の著作は、丹念な伝記などさまざまも出ていて興味深いのですが、今年はアイヴズを取り挙げる第一回ですし、“身近に感じる”を主要なポイント置いて、逸話集といいますか、友人・知人・ご家族の回想録を取り上げたいと思います。逸話も記憶の思い違い等々があって、ミスリーディングなり兼ねませんが、身近に感じさせるには抜群の素材と存じます。

《Charles Ives Remembered: An Oral History》の商品写真その回想録は、Vivian Perlis篇 Charles Ives Remembered: An Oral History (チャールズ・アイヴズ回想録:知己のひとびとの語る)

ご家族や作曲・音楽仲間(エリオット・カーターやバーナード・ハーマン)は勿論、保険の仕事仲間まで、同世代に、若い方友人もと、さまざまな方々がアイヴズの思い出話を語っています。生い立ちから、作曲の話、音楽上の趣味から(特に、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスを大変尊敬していたとのこと)、周囲のアイヴス作品への反応に、保険会社での仕事ぶりなど、内容は実に多面的。

ちょっと引用してみましょう。身内にからかわれて軽く仕返し。

父がよくおじのチャーリー(注:アイヴズのこと)をからかっていました。「チャーリー、なんでふつうに楽しめる曲を書かないんだ?」などと。おじも混ぜっ返していました。おじの家には新聞は一つもなかったのですが、父が訪問した際、「おー、なんてこった、新聞が届いている」と。父がそのニューヨーク・タイムズを持ってくると、おじは「お前さんは、なんだってそんなものを読むんだ。いつも同じ話だろうに。政治家がなんだかんだやっとるだけだ。」と。

甥 Chester Ivesの回想 p.87

次は、仕事仲間とのコミカルな場面から。

チャーリーの音楽活動が仕事の差し支えとなることはありませんでした。家で作曲して、週末はずっと打ち込んでいたようです。でも、作曲の話はおよそ聞いたことがありません。仕事場を移した時のことですが、小さな倉庫を借りていて、チャーリーと私で二人で使っていました。ある日、それぞれ、倉庫の自分の持ち場を整理していて、私のところに五線譜の束が。「チャーリー、これ捨てちゃっていいってことかい?」(アイヴズは)楽譜の中を確かめて、「おーーマイク、なんてことを!これは私の一番良い曲だよ!」。あやうく(交響曲《ニュー・イングランドの休日》の第三楽章)《独立記念日》を捨てるところでした。アイヴズは私にその曲を献呈してくれて、いまは彼の奥さんが楽譜をちゃんと預かっています。

保険会社の共同経営者 Julian Southall Myrickの回想 p.38

世紀末から20世紀初頭の古き良きアメリカの一端を知る面白さもあります。回想録ですから、口語もさして難しくないので、「英書・・・」と思わずにぜひ!

おすすめCD マイケル・ティルソン・トーマス指揮/シカゴ交響楽団 アイヴズ:交響曲《ニュー・イングランドの休日》他

そんなアイヴズのおすすめ名曲(迷曲!?)といいますと、エモーショナルでとっつきやすいのが、上の思い出話にもでてきた交響曲《ニュー・イングランドの休日 A Symphony : New England Holidays》かなと。アイヴズの管弦楽作品の中でも、比較的聞きやすく、楽章間にメリハリも利いているかと思います。

マイケル・ティルソン・トーマス指揮/シカゴ交響楽団 アイヴズ:交響曲《ニュー・イングランドの休日》他の商品写真録音も徐々に増えていて、私もすべて追っかけておりませんが、質と価格を考えると、マイケル・ティルソン・トーマス指揮/シカゴ交響楽団の録音がやはりおすすめしやすいものでは?エモーショナルといっても、あんまりべたべたっとならず、異様な感じもよく出ています。ティルソン・トーマスは交響曲四曲もすべて録音をリリースしていて、みな良い出来。

この《交響曲:ニュー・イングランドの休日》は略して、Holiday Symphonyとも呼ばれますが、四楽章が一年を描写し、冬《ワシントンの生誕記念日》からはじまり、春《戦没者追悼記念日 Decoration Day》、夏《7月4日 独立記念日》、そして、終楽章の秋《感謝祭と先人の祝日Forefather's Day》と楽章ごとに変化。

第一楽章も、清澄な出だしから奇麗に曲が流れたと思うと、いきなり村祭り。派手なラッパと、踊る弦の後ろに、ど根性ガエルのびよ〜んという音が、、、逐一書くと切りが有りませんが、第二楽章も清澄な出だしで奇麗に進んだかと思うと、いきなりブラスの楽しいマーチに!第三楽章も晦渋な弦の流れを、咆哮が切り裂き、民謡が引用されるものの変奏の中に崩れて行けば、マーチがはじまって、一瞬の沈黙の後、不協和音の混乱、、、。終楽章の終わりにまた思いつきがあって、、、

このCDには、他に《闇夜のセントラル・パーク Central Park in the Dark》と著名な《答えのない質問 The Unanswered Question》を収録。《答えのない質問》は、一般的な1930年前半に改訂版とオリジナル版を共に収録。どれもプログラムのある曲なので、聞きやすいです。とは言え、そもそもアイヴズはいつだってプログラムを持って曲を書いていた、ないしは、その傾向が強かったと言った方がいいのかも知れません(それはさすがに言い過ぎかも知れません・・・)。

CDのリーフレットにはもちろんのことですが、簡単ながらそのあたりも触れてあるのが有り難いことです。例えば《闇夜のセントラル・パーク》など、アイヴズ自身の説明が、「30年くらいの前の暑苦しい夏の晩、、、男がセントラル・パークに腰をかけて景色を見やる。周りは夜のしじま。。。そこに、いきなり池の向こうのカジノの音や、消防車が・・・」といった調子で、「そのまんまでしょ!!」とつっこんでしまいました・・・

Holiday SymphonyやCentral Park in the Darkは風景描写的プログラムで、沈鬱なThe Unanswered Questionは抽象的ながらもやっぱりプログラム曲です。

これを聴く方にとって、愛すべき曲となるかどうかはまったく!自信がないのですが、わたしもたまに聞き返しては、「なんだこれは!」と思ったり、うっかり笑っちゃったり。。。であります。

では!

関連のおすすめ:

>>チャールズ・アイヴズのCDをもっと探す(Look4Wieck.comのAmazon検索機能が開きます)

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posted by sergejO at 17:03 | Comment(2) | TrackBack(0) | 作曲家の誕生日です!
この記事へのコメント
すみません、私の訳の分からん記事上でリンクを貼らせて頂きました。

http://ken-hongou2.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/10-857d.html

実は、アイヴズの例を使おう、と思っていた矢先であったのでした・・・負けた。。。
(って、別に、勝負するような中身じゃないんです。本の中年ジョーク。)
Posted by ken at 2008年10月23日 00:32
訳の分からんなんて、いけません。最高傑作の一つと思っております。お世辞でなく!誰も話したことがない内容だから、難しいだけです。
私の記事へのリンクまで、、、kenさんの読者の皆様にお恥ずかしいです・・・
*****
あと、序でのようでかえって失礼なのですが、kenさんがいつもおすすめしているクリュイタンスのベートーヴェン全集。先日の晩、本当に素晴らしいと判りました。室内楽的ってあのような演奏を言うのでしょうか?その時は、第3番を聴いていましたが、あんなに音の移り変わりが気持ちの良い演奏が他にある?と言いたいくらいでした。これはほんとに深謝であります。
Look4Wieck.comで、「そろそろ人気もピークを過ぎたかな・・・」なので、いまなら迎合しても良いかと「のだめ」記事を書いておりますが、http://look4wieck.com/w/?p=169 そこできちっと取り上げることに致しました。ちょっとしたズレが痛いほど、大まじめに指揮者とオーケストラが取り組んでいて、すごいです、ほんとに。
Posted by sergejO at 2008年10月23日 01:15
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