2008年10月26日

ドメニコ・スカルラッティの誕生日にちなんで − おすすめ名著&名盤 チェンバロの全集、ピアノの一枚もの名演、そして ツァハリアスの目立たない好演奏!

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本日は、ドメニコ・スカルラッティ Domenico Scarlatti(1685-1757)の誕生日。いつものごとく、名著と名盤のおすすめをご紹介したいと思います。

ごくごく簡単な経歴をご紹介しますと、ドメニコ・スカルラッティは、イタリアはナポリ出身のいわゆるバロック期の音楽家。父のアレッサンドロも音楽家です。

イタリアでいうならヴィヴァルディ、フランスならラモー、ドイツであれば、ヘンデルやバッハと同時代人。さまざまな楽曲を書きましたが、現在は、555曲におよぶ鍵盤楽器のためのソナタがつとに有名。このソナタが一曲一曲、短いのですが、総じて軽やかで楽しいもので、といっても哀しげだったり、うっとりする瞬間もあって・・・全部で500以上もあるのですから、ほんと表情はさまざまです。親密感をすごくかんじると思います、読書やお茶のかたわらにはもってこいです。

おすすめ名著 岡田 暁生 著『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書) 』

岡田 暁生 著『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書) 』の商品写真おすすめ名著は、和書・洋書それぞれスカルラッティを単独に取り扱ったものはありますが(和書はそれでも中古になってしまいます)、ここは弊ブログの想定読者を考えると、音楽史を外観する書籍が良いかなと。

その書籍は、岡田 暁生 著『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書) 』。音楽史というと、専門語と作曲家、曲名の羅列に目がくらむ思いがした方も多いのでは?名曲案内というと、これもいい、あれもいいい、とこれまた単なるカタログもいいところで、理由は?と問えば、「なんといっても天才の名曲だから」と。

・・・ご明察の通り、このブログなどその典型でありますが、この岡田氏の『西洋音楽史』は、音楽史というからには歴史の彼方からの中世から、現代音楽に至るまでの、流れをきちんと説明してみようと、試みた書物。私もいろいろ聞きながら、疑問に思っていたこと、そのまんま、うっちゃって忘れていたことなどなど、さまざま解決。特に中世から、モーツァルトやベートーヴェンらの古典派までの流れがクリアーで、新書で手に入りやすいのは有り難い限りです。

「バロックの作曲家のバッハはむしろ異例であり、バッハ中心主義はドイツ19世紀の国民主義的歴史観が日本に入って来たから」というテーゼを元に、イタリアを中心すえてバロックを解説。その中で、スカルラッティは繊細な内面の表現が洗練されて来た後期バロックの代表的作曲家であるとされます。

面白くて読み始めると止まらない書籍と思います。未読であれば、ぜひにとおすすめ致します。
(わたくしにこの書籍をお薦めてくだすったのは、コメントをよく頂戴するkenさん。kenさんのブログには、例えば最近ならば、いわゆる古楽とピッチの問題など、さまざま面白い考察が進められています。クラシックを聞き始めた方には、最初は難しくお感じになるかも知れませんが、直に慣れてきますので、ぜひどうぞ。)

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さて、スカルラッティも鍵盤楽曲だけではなく、最近は声楽曲にもいろいろ録音が増えています。今回初めて取り上げるので、通例に沿って、本日も鍵盤楽曲から。。。

おすすめ名盤 ピアノ篇 名人の1枚もの ホロヴィッツとクララ・ハスキル

では、続けておすすめ名盤に。この時代の曲ですと、ピアノで聞くか、チェンバロで聞くか、悩むところ。上述の岡田音楽史の中では、スカルラッティの音楽にある巧みで心理的・内面的とも言える描写は、やっぱりピアノが・・・との記述。これは、小生も常々そう思っていたので、虎の皮を借りる勢いで、ピアノの名盤からまずご紹介したいなと思います。

ホロヴィッツ独奏 スカルラッティ:ソナタ集の商品写真なんといっても著名なのが、ホロヴィッツ独奏 スカルラッティ:ソナタ集(17曲)(こんな名盤でも国内盤の入手が不安定!輸入盤なでリンクしております)。全体として快活で、ホロヴィッツが名人芸を駆使して、テンポの変化をつければ、音色も多彩に演出。初めてこれを聞いて、曲の面白さとホロヴィッツの巧みさに唖然しながらも、楽しく感じたのを未だによく覚えています。一枚分しかないのが、惜しいと思ってしまう録音。

ハスキル独奏 モーツァルト:ピアノ協奏曲No.20&スカルラッティ:ソナタ集の商品写真他に、古い名盤ならば、クララ・ハスキルも良い演奏を残しています。スカルラッティのソナタは11曲収録。これはいかにもハスキルらしく、デリケートに柔らかく、ほのかに暖かみが伝わってくる、そんな演奏です。

その他、往年の名人ならチッコリーニにも一枚ものがあり、ほんの数曲となれば、ミケランジェリ、リヒテル、リパッティ、グールドその他、それぞれ個性的な名演が多数。

私もすべて聴いては居りませんが、現役を含めて誰で聴いても、「スカルラッティが面白い!」と感じるには良いかもしれません。問題にすべきは、収録曲数ではないかと思います。

おすすめ名盤 チェンバロ全集 スコット・ロスとピーター=ヤン・ベルダー

チェンバロも最近は様々演奏が増えてどれにしようか迷うところですが、チェンバロで独自と言えば、個人全集が出ていることでしょうか?

スコット・ロス独奏 スカルラッティ:ソナタ全集の商品写真一つは、ご存知!最初にこの偉業を達成したスコット・ロス Scott Rossの全集(34枚組 輸入盤)。1980年代の録音で、全体的に、快活な演奏といったらいいでしょうか。数年前廉価版が出て、およそ1/3ほどにと随分お求めやすくなりました。スコット・ロスには国内盤で一枚もの選集もあります。

ピーター=ヤン・ベルダー独奏 スカルラッティ:ソナタ全集の商品写真いま一つは、もっと最近の2000年代の録音で、ピーター=ヤン・ベルダー Pieter-Jan Belder の全集(36枚組 輸入盤)。この枚数では、価格が気になりますが、こちらはBrilliantレーベルの廉価Boxがマーケット・プレイスで現在9,000円を切っており、Amazonのお買い得版と言っても良いかと存じます。スコット・ロスに比較すれば、やや落ち着いたテンポ。勿論、快活なものは快活ですが、細やかな表情付けが面白いもの。

私も専門的なことまでは、さっぱりなので、自信はないながら、この二人の演奏を聴き比べると、演奏者の個人的な解釈の違いは勿論あるものの、およそ15〜20年の間に、チェンバロ・ハープシコードの演奏、楽器そのもの、また録音の技術もいろいろ変わったのだろうな・・・と感じさせます。

スコット・ロスのロスの活き活きとした演奏も魅力的ですが、個人的にはベルダー盤が単に聴いて楽しいだけでなく、私にはピアノとの演奏法の違いがいろいろと想像されて好みです。

ベルダーの演奏は視聴ができまして、、、
ベルダーのwebsite(右側に出るメニューで、スカルラッティやバッハの演奏のサンプルを聴けます)

勿論、他にも奏者はたくさん!チェンバロの一枚ものも様々でどれを選んでよいのか悩む状態。

デ・フィゲイレド演奏 スカルラッティ:ソナタ集の商品写真

余談ですが、上の岡田氏は、別所でブラジル出身のニコラウ・デ・フィゲイレド Nicolau de Figueiredo の録音を推薦しており、大変興味深いとのこと。残念ながら、わたしはまだ聴いておりません。

その推選の言葉は、「ニコラウ・ディ・フィゲイレドによる(スカルラッティの)CDが目を瞠る出来だ。優美で高貴で軽やかで、しかも時にオルゴール、時にフラメンコ・ギターのような色彩感を自在にチェンバロから引き出してくる」というもの。スペインやポルトガルにも暮らしたスカルラッティが吸収した(はずの)アラビアのリズムが聞える由。

ここまで言われると、聴かなくては・・・と思ってしまいます。ご興味があれば、リンク先のアマゾンのマーケットプレイスにリリース元のアルケミスタ・レコーズが直接出店しているので、ぜひどうぞ!(2008年12月12日注:私も注文してみましたが、結局、手に入らず。アルケミスタ・レコーズの出店自体消えてしまい、どうなったのでしょう・・・)

最後にもう一つおすすめ!クリスティアン・ツァハリアスのピアノ演奏

さて、スカルラッティを聴いてみようと言うとき、「1枚ものでは曲が少な過ぎて、全集を聴いてみるのはちょっと多すぎるかな・・・」ということが、実は問題になるのかな?と思っております。

ツァハリアス独奏 スカルラッティ:ソナタ集第一弾(2枚組)の商品写真そこでおすすめしたいのが、ペルルミューテルの弟子で、1969年ジュネーヴ国際コンクール二位のドイツのピアニスト クリスティアン・ツァハリアスの録音。最初に最初に2枚組をリリースし、その後、1枚ものをリリース。およそ1割にあたる49曲を聴くことが出来ます。

これだけあると充実した量にして、下に記したwebsiteからサンプルも聞けますが、大変面白いものでは?

ツァハリアス独奏 スカルラッティ:ソナタ集第二弾の商品写真第一弾の2枚組の曲目は33曲で、作品番号順に並べると、K.39, 87, 96, 118, 124, 162, 183, 193, 208, 209, 247, 296, 318, 319, 322, 380, 381, 386, 434, 438, 454, 455, 460, 466, 467, 475, 481, 516, 517, 531, 533, 544, 551を収録(CD上は順不同。マーケットプレイスでimportcds_comがちゃんとした価格で取り扱っています)。

一枚ものの第二弾は17曲、K.69, 108, 126, 202, 206, 278, 384, 402, 403, 406, 434, 450, 518, 519(こちらもCD上は順不同)となっており、重なる曲がK.434のみなのも、ちゃんと考えています。

これが従来のピアノ演奏とひと味違う面白いもので、こういうピアノ演奏はいままであまりなかったかなと思います。カツァリアス自身さまざまな音色をトライしたとの発言あり。音色だけでなく、リズムの取り扱いやフレージングも面白いもの。慣れたスカルラッティとは、また一つ印象が違って聞こえます。

そういった様々なアイディアが、奇抜でなく、自然なバランスを保っていると思いますが、如何でしょうか?

ドイツのアマゾンで、わずかながらの時間ですが、サンプルを聴くことができますので、ぜひどうぞ。

http://www.amazon.de/Sonaten-Vol-1-2/dp/B000058AV7/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1227967792&sr=8-1

http://www.amazon.de/Sonaten/dp/B0001HOXL4/ref=sr_1_6?ie=UTF8&s=music&qid=1227967792&sr=8-6

ツァハリアス氏の個人サイトはこちら。英語で読めます。

http://www.christianzacharias.com/index.asp

では、また次回!

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posted by sergejO at 20:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作曲家の誕生日です!
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