クリスマスに年末年始も近づきました。本日は、2008年12月のプレゼントにいかが?の第三回。
弦楽四重奏団を中心にした室内楽のおすすめ名盤ご紹介で続けて居ります。今回は、以前「日本のアマゾンでは扱っていないのですが、、、」としていたズスケ・カルテット(ズスケ弦楽四重奏団)の名盤を二つおすすめ致します。
嬉しいことに、この10月に日本アマゾンでも取り扱いとなりました!納期が今現在ちょっと長いのですが、丁寧で素晴らしい名録音です、ぜひぜひご検討ください。
ズスケ・カルテットは、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターおよびゲヴァントハウス弦楽四重奏団のメンバーとして活躍したカール・ズスケが、1960年代にベルリン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターに移籍した後に結成した四重奏団。正確な創設年は1965年で、ライプチヒに戻るのが1977年だそうで解散は・・・この点、不明です。また、この間にベルリン・カルテットと改名しているのですが、その正確な改名の年も小生与り知らず相済みません。
現在の発売元のedel Classicsが、ズスケ・カルテット Suske-Quartettで名称統一しており、ここでの表記もそれに併せておりますこと、お許しくださいませ。
二つのセットが基本と言えるでしょう。モーツァルトとベートーヴェンのそれぞれの弦楽四重奏曲を収録したBox-set。どちらも弦楽四重奏曲というジャンルの屈指の名作品。昨日は、いろいろな作曲家の作品を聴くには、、、とヴェラー四重奏団の素晴らしい録音をご紹介しましたが、作曲家を絞って、じっくり聞かれるなら、モーツァルトもベートーヴェンも最良の選択です。
まずは商品と詳細曲目を並べますと、
ズスケ・カルテットおすすめCD その1 モーツァルト弦楽四重奏曲集 第8番〜第23番 (6枚組)
23曲あるモーツァルトの弦楽四重奏曲で、最初期の7曲の弦楽四重奏曲を除いたすべて収められています。いわゆるモーツァルトの傑作 第14番〜第19番の《ハイドン・セット》や晩年の第21番〜第23番《プロシャ王セット》もちゃんと収録。
ついつい《ハイドン・セット》だけで済ませていたという方もいらっしゃるかと思いますが、ぜひこのBoxでその他の曲も楽しまれては如何でしょうか?
曲目の詳細は、
- CD1:
弦楽四重奏曲第8番 ヘ長調 KV168 / 第9番 イ長調 KV169 / 第10番 ハ長調 KV170 - CD2:
弦楽四重奏曲第11番 変ホ長調 KV171 / 第12番 変ロ長調 KV172 / 第13番 ニ長調 KV173 - CD3:
弦楽四重奏曲第14番 ト長調 KV387 / 第15番 二短調 KV421(417b) - CD4:
弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 KV458 / 第16番 変ホ長調 KV428(421b) / 第21番 二長調 KV575 - CD5:
弦楽四重奏曲第18番 イ長調 KV464 / 第19番 ハ長調 KV465 - CD6:
弦楽四重奏曲第20番 二長調 KV499 / 第22番 変ロ長調 KV589 / 第23番 ヘ長調 KV590
となっております。録音年は不明ですが、初リリース年はCD1&2が1978年、他が1974年。よって、録音はその年か、その前の年でしょう。
もう一つのおすすめベートーヴェンは弦楽四重奏曲全集。トリオが数曲付いております。
ズスケ・カルテット演奏 ベートーヴェン弦楽四重奏全集 (10枚組)
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全16曲に、初期のトリオや弦楽四重奏曲の試作(?)を収めています。
モーツァルト同様、このBox-setには初リリース年の記載しかなくご了承ください。
- CD1:
弦楽四重奏曲第1番〜第3番 Op.18-1〜3(発売:1977年) - CD2:
- 弦楽四重奏曲第4番〜第6番 Op.18-4〜6 / メヌエット 変イ長調 Hess 33(発売:1977年)
- CD3:
弦楽四重奏曲第7番&第8番《ラズモフスキー第1番&第2番》Op.59-1&2(発売:1969年) - CD4:
弦楽四重奏曲第9番《ラズモフスキー第3番》Op.59-3(発売:1969年) / 同第10番《ハープ》Op.74(発売:1977年) - CD5:
弦楽四重奏曲第11番《セリオーソ》Op.95(発売:1977年) / 同第13番 Op.130 / 大フーガ Op.133(本来、Op.130の終楽章として作曲されたもの)(発売:1981年) - CD6:
弦楽四重奏曲第12番 Op.127(発売:1980年) / 同第14番 Op.131(発売:1981年) - CD7:
弦楽四重奏曲第15番 Op.132(発売:1979年) / 同第16番 Op.135(発売:1980年) - CD8:
弦楽三重奏曲 変ホ長調 Op.3(発売:1970年) - CD9:
弦楽三重奏曲 ト長調 Op.9-1/ 同 ニ長調 Op.9-2 (発売:1970年) - CD10:
弦楽三重奏曲 ハ短調 Op.9-3 / 弦楽四重奏曲 ヘ長調 Hess 34(ピアノ・ソナタ ホ長調 Op.14-1の編曲) (発売:1970年)
既にご存知の方には、このズスケ・カルテットは今更ながらの話ですが、なんにせよ彼らの演奏から聞こえてくる、音楽の息づかいと申しますか、なんとも言えない響きの丁寧さ、爽やかさはやはり素晴らしいもの。軽やかですが、中身はぎっしり詰まったもの。
手に入れた時は、特に初期の作品が、、、と思い、以前の記事もそう書きましたが、その後、しばらく聞き続けて、モーツァルトもベートーヴェンもどの曲も、他にはないユニークさ、他には得難い質の高さを兼ね備えているものだなと、つくづく感心致しました。何を言っても、彼らのバランスといい、響きといい、今となっては、そうそう得難いもの存じます。
未聴でしたら、ぜひどうぞ!
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モーツァルトとベートーヴェンの伝記のおすすめ
さて、モーツァルトとベートーヴェンのこれらの四重奏曲を初めて聞く方には、これらの曲がどんな作曲家に取ってどんな位置づけで、どれほど素晴らしい曲なのかを書くべきところですが、そうなると私の能力を超えますので、おすすめの書籍をご紹介するにとどめたいと思います。
言えるとすれば一言だけで恐縮ですが、もし、交響曲やピアノ曲だけで、モーツァルトとベートーヴェンをお聞きになっていらっしゃったら、それに優るとも劣らない素晴らしい曲である・・・これはほんとに疑うべくもないことです。
モーツァルトについては、新潮文庫『カラー版作曲家の生涯 モーツァルト』や音楽之友社『作曲家◎人と作品 モーツァルト』が手軽で内容も充実した伝記。
モーツァルトにせよ、ベートーヴェンにせよ、この位有名な作曲家であれば、やはり伝記を一冊ものにしてしまうのが、良いことかと思います。
作品同士の縦のつながり、横のつながり、なかなか耳にしない名曲の数々等々、今後聞き進めていくのに大いに役に立つことでしょう。
ベートーヴェンですと、同じく新潮文庫『カラー版作曲家の生涯 ベートーヴェン』があります。これは、ベートーヴェンの笑い話がちょこっとあるのが嬉しいもの。
音楽之友社の作曲家◎人と作品では残念ながら未完。
もう一冊は、古い本で古書しかないのですが、諸井三郎著『ベートーヴェン』が私には懐かしさも手伝いますが、良いものかと存じます。
これは所謂、初期、中期、後期の分類で説明しており、詳細に紹介される曲も伝統的な有名曲が中心。その点、最新の知見からは、なにか足りないものがあるのかも知れませんが、手記の引用なども多数あって、ひとまず概観を得るには、未だ十分おすすめできる書物かと思います。
「本には手が出ず、、、」ということがありましたら、この機会に一歩踏み込んでみるのもご一考かと存じます。
では!