2008年12月17日

12月17日はベートーヴェンの洗礼日!− フォルテピアノ・ソナタとして聞き直す、表現力がないなんてもう言えません

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お寒うございます。わたくしが居ります関東地方某県もこのところ大変冷え込みまして、暖房を付けずにいることが難しくなりました。外出すれば、鼻をすすらせる方、咳き込む方もちらほら。皆様ご自愛のほどお祈り致します。

大井浩明演奏 ベートーヴェンフォルテピアノのためのソナタ集 No.9-11の商品写真さて!本日はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven (1770-1832)の洗礼日。誕生日は不明ですが、当日でないとすれば、一日、二日前といったところでしょう。

しかし、いまさらながら、200年も前の音楽が、未だ我々の心を打つこともあれば、はずませることもあるというのは、あらためて考えるとなんだか不思議です。“クラシック”音楽という位置づけがおかしいだけなのか、古典だからこそ、今も生きていると言って良いのか。。。

ベートーヴェンはもうbig nameも最たる作曲家で、「散々に聴いた・・・」という方もあれば、でもよく考えたら、「《運命》や《第九》に、《月光》だけ、、、あっ、のだめ読んで《七番》も!」という方もいろいろあるかと思います。とは言え、「知らない」と思っていらっしゃることは、先ずないものかと。

そこで、今回は“あらためて近づき直す”をテーマに、先日リリースされた風変わりなCDをご紹介!であります。


大井浩明 フォルテピアノによるベートーヴェン:ソナタ集のおすすめ

大井浩明さんは弊ブログでも何度か取り上げており、右上に公演のバナーも張って居ります現代日本のピアニスト。公式サイトを拝見すると、http://ooipiano.exblog.jp/ 妙にかわいらしい頁デザインと(辛辣かつ真摯な)内容のギャップがなんだかおかしいです。

その大井氏が、この秋から順次販売されているのが、フォルテピアノによるベートーヴェンのソナタ。「何故にまた猿の絵?」と怪訝に感じましたが、これが大変素晴らしく、かつ、興味深いものでした。

今から、ベートーヴェンのソナタを全曲聴いてみたい!という方は勿論、いままでケンプ、A.フィッシャー、バックハウス、グルダ他の名盤を散々に聴かれたという方にも、新しい体験を与えてくれるものと思います。

大井浩明演奏 ベートーヴェンフォルテピアノのためのソナタ集 No.12-14の商品写真私自身、「フォルテピアノに表現力がない」と思っていた自分の不明を恥じた経験になりました。その新鮮な体験が、単にちょっと楽器を代えました、趣向を変えましたなどというものではない、、、と、思うに至って居ります。

もし、「フォルテピアノって何?」と疑問をお持ちの方がいらっしゃったら、それはごく簡単に言えばピアノの前身で、、、例えば、こちらの頁 http://www.cembalo.com/instruments/fortepiano.htm など、さまざま検索を掛けるといろいろな説明がでてくるかと存じます。言葉の説明ですと何とも判り兼ねますので、やはりコンサートなり、良い録音なりに当たるに如くはないものかと。

さてさて、その大井氏によるフォルテピアノのベートーヴェン録音は今現在2枚6曲が出て居ります。今月はリスト編曲の交響曲のリリースを待つところ。

大井浩明演奏 ベートーヴェン:リスト編曲の交響曲 No.1&2の商品写真ベートーヴェン:フォルテピアノのためのソナタ集

ベートーヴェン:リスト編曲 交響曲

以前、Look4Wieck.comに書いたことの繰り返しになってしまいますが、私も単なる横好きで、どこが大井氏の技術であり、どこがピアノフォルテの特性であり、どこが両者の融合なのかまったく不明です。

ただ、感じたままに書きますと、全体的に音は柔らかく、わかりやすいところではスタッカートもきつくなりません。音の伸びや減衰も柔らか。しかし、柔らかいからと言って、迫力不足など決してありません。

響きの豊かさで面白いのは、重なる音も分離しながら響きます。右手左手が鮮明で、楽しいです。また、一音だけ見ても、線が震えているのを感じて、弦楽器に近づく感じも致します。

上のことも重なると思うのですが、「なんて多彩なタッチ!!」とびっくりするほど、音の表情が大変豊かです。今後、フォルテピアノでは、表現力が足りない、、、などと言えないなと思うに至ったところです。

演奏に当たって、大井氏が、フォルテピアノに対する誤解を解くように弾いているのではと感じる部分もありました。例えば音をのばしたところ、突然の強いアタックなどですが、「こんなこともできるんだよ」と示しているのでは、と思うのですが、如何でしょう?

いずれにせよ、聞こえてくる音が、まさしくそう!というところ、あっ、そうだったのか!?と様々で、手元に楽譜が有る方なら、思わず開いて検討させる魅力を持っているかと存じます。

全部買うのは、、、と躊躇される時は、私の趣味で言ってしまうと、まずはPlaudite Amici IV ソナタ第9番、10番、11番、その中でも第10番 Op.14-2を聴かれてみては如何でしょうか?特に第二楽章 Andanteですが、これほど注意深く、楽しく弾かれたものは私には、ちょっと思い浮かびません。

全般的に楽譜を見たくなる様な注意深い演奏にして、これだけ惹き付けるのに、心の内面のどうのこうのを語る気にならないのが、演奏者の趣味を反映するのでしょうか。しかし、そこになんの感情もないと考えるのはウソで、つまり言葉にできない音楽が奏でられているのだと思います。

スリーヴノートを見ると、ライヴ録音とのこと。時たま細部の傷を言う向きもあるやも知れませんが、これだけユニークで、ウィットに溢れ、また真摯な試みであれば、私には何ら問題はありません。

CDの帯には、「モダン・ピアノによる喜劇は終わった!」という言葉。これまでこのピアニスト御自身のものか、存じ上げませんが、実際、モダン・ピアノに帰ってこれなくなるリスナーが出てもおかしくない、、、とそう思って居ります。

・・・いつになく大袈裟な文句になっているかも知れませんが、浅学のわたしが遅ればせながら、フォルテピアノの響き・とことんベートーヴェンを引き出す大井さんの演奏にびっくりしたものと、ご笑覧ください。

では、また次回!

関連作品のご紹介:

>>大井浩明のCDをもっと探す(Look4Wieck.comのAmazon検索機能が開きます)

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posted by sergejO at 14:51 | Comment(3) | TrackBack(0) | 作曲家の誕生日です!
この記事へのコメント
一つコメント頂戴しておりましたが、リンク先画像に少々問題のある上、クラシックとも関係のないスパムコメントと判断し、小生のお返事のコメントと共に削除致しました。熟慮の上の結論とご了承ください。
sergejO拝
Posted by sergejO at 2008年12月19日 01:01
ベートーヴェンのこの全集は知りませんでしたが、モーツァルトのソナタについてはOortの名盤(全作品集)があり、モダンピアノより「力強い」モーツァルトを聴くことができます。
当然、ベートーヴェンより前の段階でのフォルテピアノを使っての演奏ですから、
「もうこの当時にこれだけの表現力があったのか!」
ということにはショックを受けること請け合いです。
大バッハの晩年の作品も、じつはフォルテピアノのための作品だったのではないか、と考えられるようになって来ている今日この頃・・・
Posted by ken at 2008年12月21日 11:49
モーツァルトは、スコダの録音で聴いて居りました。それで、丁度先ほどKenさんの記事を契機に、先日出たHaydn作品集と併せてvan Oortの録音を購入したところです。到着が待ち遠しい!

kenさんのブログと巡り会わなければ、これらに接するのが相当遅れたはずで、この場で御礼申し上げる次第です。
*****
ここまでお読み頂いた方に、
スコダのモーツァルト(6枚組)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000BK53NI/look4wieckcom-22/ref=nosim/
(Johann Schantz, Vienne ca.1790)

van Oortのモーツァルト(14枚組)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000EMSPVU/look4wieckcom-22/ref=nosim/

van Oortのハイドン
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001EQPD3I/look4wieckcom-22/ref=nosim/
Posted by sergejO at 2008年12月21日 14:17
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