1月27日は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756-1791)の誕生日。昨日は、書籍を幾つかご紹介したところ。本日は録音からご紹介ですが、モーツァルトの録音など到底すべて聴き切れないほど多いもので、そもそも曲だって多くて、まじめにどれが一番!なんて、とても考えていられないものなので、えいやっとばかりにオペラの《コジ・ファン・トゥッテ》で参ります!
オペラのDVDも価格的に最近随分手に入り易くなったのですが、かつての高い印象から手を出さずにいらっしゃる方などあれば、弊記事がちょっとしたきっかけになれば幸いです。
本日、ご紹介するのはニコラウス・アーノンクールの二種類の録音とジョン・エリオット・ガーディナーのそれ。このブログはマニアの方向けというより、「これから聞いて行こう!」という方向けのものですので、オペラのDVD選びの注意点なども織り交ぜながら。
モーツァルト:オペラ《コジ・ファン・トゥッテ》のあらすじ
《コジ・ファン・トゥッテ》については、のだめでちょっと取り上げられたこともあって、名前やストーリーの概要はご存知の方も多いでしょうが、ちょっと復習であらすじを・・・
イタリアはナポリに、とある姉妹(姉:フィオルディリージ、妹:ドラベッラ)が、それぞれ恋人(姉の恋人:グリエルモ、妹の恋人:フェルランド)を持ち、安穏に暮らして居りました。ここに波風を生じさせるのが、皆の知人の哲学者ドン・アルフォンゾ。男二人を「女心は秋の空」とそそのかし、姉妹が浮気ごころを持つか持たないかと賭けをします。グリエルモとフェルランドが青年士官故に急遽出征したと偽って、その実、外国人に扮し、グリエルモはドラベッラに、フェルランドはフィオルディリージに近づいて、彼女らが籠絡されるか真心を保つか・・・と実にたわいもない設定ですが、ゆれる女心を扱うアリアが聞かせどころ。たわいもない話のようで、悩みや怒りが時にコミカルに、時に真実味を帯びる繊細と言えば、繊細な話です。1790年の作曲で、モーツァルトも最晩年の頃。《ドン・ジョヴァンニ》の後、《魔笛》の前に成した劇作品が本作となります。
では、ずらずらっとデータを挙げてみますと・・・
アーノンクール指揮/ウィーン国立歌劇場 ポネル演出《コジ・ファン・トゥッテ》(1988)
指揮&演奏:ニコラウス・アーノンクール指揮/ウィーン国立歌劇場および合唱団
歌手:エディタ・グルベローヴァ(フィオルディリージ)、デローレス・ジーグラー(ドラベッラ)、フェルッチョ・フルラネット(グリエルモ)、ルイス・リマ(フェルランド)、テレサ・ストラータス(姉妹の女中 デスピーナ)、パオロ・モンタルソロ(ドン・アルフォンゾ)
演出:ジャン=ピエール・ポネル
録音:1988 映画仕立て
音声:歌唱イタリア語、字幕は日本語、イタリア語(輸入盤は字幕が英、仏、独、伊、西。価格が安価です。)
その他:Region Codeは0(輸入盤も0です)
輸入盤アーノンクール指揮/チューリヒ・オペラ 《コジ・ファン・トゥッテ》(2000年) &《ドン・ジョヴァンニ》(2001年)
指揮&演奏:ニコラウス・アーノンクール指揮/チューリヒ・オペラ劇場管弦楽団および合唱団
歌手:チェチーリア・バルトリ(フィオルディリージ)、リリアナ・ニキテアヌ(ドラベッラ)、オリヴァー・ウィドマー(グリエルモ)、ロベルト・ザッカ(フェルランド)、アグネス・バルツァ(デスピーナ)、カルロス・ショウソン(ドン・アルフォンゾ)
演出:ユルゲン・フリム
録音:《コジ・ファン・トゥッテ》2000年ライヴ、《ドン・ジョヴァンニ》2001年ライヴ
音声:歌唱イタリア語、字幕は輸入盤ですが日本語あり!他に、イタリア語、英語、ドイツ語、フランス語
その他:Region Codeは0(輸入盤も0です)
輸入盤ガーディナー指揮/モンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ《コジ・ファン・トゥッテ》
指揮&演奏:ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/モンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(ピリオド楽器)
歌手:アマンダ・ルークロフト(フィオルディリージ)、ローザ・マニオン(ドラベッラ)、ロドリー・ギルフリー(グリエルモ)、ライナー・トロスト(フェルランド)、エイリアン・ジェームズ(デスピーナ)、クラウディオ・ニコライ(ドン・アルフォンゾ)
演出:ジョン・エリオット・ガーディナーが兼任
録音:ライヴ録画(1992年?はっきり確認できませんでした)
音声:歌唱イタリア語、字幕はイタリア語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語
その他:Region Codeは0
さて、この三種のDVDを題材に、どうやって選んで行くかですが、オペラのDVDは選別では、ポイントが幾つもあって、むずかしいところ。歌手の声が役柄とあっているか、指揮と演奏がどうかもそうですが、視覚を伴いますので、舞台が好きな雰囲気・デザインか、それに歌手の見た目だって結構気になるところ・・・最近は殆どライブ録音ですが、映画仕立てとの差もあります。
人によって、あれはよくても、これが・・・とそれぞれのポイントの軽重が異なるので、観た方に詳しく聞くか、それこそ自分で確かめないとなんともかも知れません。
幸いなのは、Amazonのレビューなど、DVD作品については、その点記述が細かく丁寧で、CDなどに比べたら、役に立つように思われる事。外国語を読める方は、その上で、他国のAmazonのレビューなどもご覧になれば、購入の参考とする情報が得られるかと思います。
● ライヴ録音か映画仕立てか?
映画仕立ては、音声と演技と別々に撮って併せたもの。つまりは口パクです。年代が新しいものは、かなり自然ですが、やはり何となく気になるところ。台詞部分はあまり判りませんが(そもそも台詞はその場の録音ということもあるのでしょうか?)、歌になると不自然さを感じる人も多いやも知れません。ただし、舞台セットや撮影のカット割りはさすがに凝った作りです。一番上のアーノンクール指揮ポネル演出のものがそれに当たります。
ライヴ録画は、舞台をそのまま撮ったもの。ざっくり言って、1990年代以降のものは、録音や撮影技法が進歩して、音が遠のいたり、カメラが固定し過ぎて飽き足りということもないかと思います。上に挙げた二つライヴ録画はどちらも非常にいい感じですが、最近のライブ録画にはカット割りが凝り過ぎて、舞台で何が起っているのか判らないものもあって、これは見ないと判らないだけに何ともです。
● 舞台は?
昔風の豪華なデザインと、シンプルで、時に奇抜なモダーンなものに大きく別れますが、もちろん中を見て行けば、もっといろいろと性質が異なります。
上の三つで言うと、どれも基本的には前者の昔風の演出ですが、一つ目のアーノンクール指揮ポネル演出は、古典的でも割と派手、こってりかつきらびやかな味わいと感じました。二つ目のアーノンクール指揮チューリヒ歌劇場ライヴは、18世紀のロココ調というより、19世紀の市民社会風と思いましたが如何でしょう?全体的にダークな色合いです。三つ目のガーディナーのライヴは、私などにはぴったりのロココ調な軽やかさで、全体的に淡い色合いです。
芝居の演出なども、上の舞台デザインに通じるものかと思います。とは言え、人によって感じ方は様々ですが、私見を書きますと、ポネル演出はちょっと派手で俗味あり、チューリヒ歌劇場ライブはかちっとして表現主義的?、ガーディナーは軽やかで親しみやすいといったところでしょうか?
● 歌手は?
歌手の評価は私は自信がなく、そもそも、見た目にも随分左右されるのですが・・・
上手いかどうかで言うならば、どれも問題なく、二種アーノンクール盤はどちらにしても有名歌手ですから、その店安心できるものでしょう。
ガーディナー盤は、姉妹の二人が若いので、役柄に近いようで、私には気に入りました。ウィーン国立歌劇場のグルベローヴァや、チューリヒ歌劇場でのバルトリのような深刻味に欠けるという方があってもおかしくないとも思います。ただ、私などには、この劇は若者の話ですし、ちょっと真面目な長女と、要領の良い次女というステレオタイプが軽やかに出て、若者らしくちょこっと(?)悩むガーディナー盤が好みでした。
一つだけ気になったのは、これもまったく個人的趣味判断ですが、二つ目のチューリヒ歌劇場でのドン・アルフォンゾ役カルロス・ショウソン。こんないたずらを思いつく人には、私には見えなかった・・・と些細なことです!その点、ウィーン歌劇場でのパオロ・モンタルソロも、ガーディナーが用いたクラウディオ・ニコライも、「あなたは若い頃遊んでましたっっ」と思わせます。←なんだか気になりました!
● 音楽は?
アーノンクールもガーディナーもどちらも古楽出身の大家。ヴィブラートの有無、はっきりしたアーティキュレーションといった点では、どちらも古楽だなと。但し、楽団はアーノンクール盤はウィーン歌劇場ないしはチューリヒ歌劇場のどちらもモダーン楽器の楽団。ガーディナー盤は、手兵のイングリッシュ・バロック・ソロイスツというピリオド楽器の楽団を用いています。
アーノンクールは、いかにもアーノンクールらしい、はっきりとした音楽作り。ぎょろっ目を動かして、ところどころにやっと笑う。特にチューリヒ歌劇場の録音など、いかめしいといっても良さそうです。
ガーディナー盤は、その点、オリジナル楽器ということも手伝っているのでしょうが、さわやかで、音に透明感があるといいますか、こういう音楽作りは、私がCDで聴いた往年の名盤にもないもので、すっかり楽しめました。
この辺りも、どの録音も演出だなんだと全体的雰囲気と合っていると言えば合ってます。
● その他
DVDで気になるのは、リージョン・コード。日本で売られているDVDプレイヤーでは、リージョン・コード2(日本やヨーロッパ)ないしはリージョン・コード0(全世界で見られます)かどうかが肝要です。
本日ご紹介した三枚は、その点はどれも問題無し。
輸入盤は、リージョン・コード1(北米向け)のものもあるのですが、クラシックは大概のレーベルでリージョン・コード0で出して居ります。Amazon.co.jpはちゃんと確認できない時には、リージョン・コード1と記述する方針で、買ってみるとリージョン・コード1で問題ないことが多いです。Googleで、そのDVDの情報を探すと、正しいリージョン・コード情報が手に入りますので、不安があれば、購入前に確かめることがおすすめです。
私など、一度観た話であれば、英語字幕で問題ないので、価格の安い輸入盤を購入します。そもそも、家にリージョン・コード1用のプレイヤーも置いてあって、あまり気にして居りません(Duty Freeの量販店を探せば購入可。リージョン・コード1のDVDを何枚か手に入れるなら、すぐに元が取れるかと)。
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かくなる次第で、なんだかややこしくいろいろと書いて参りましたが、一言で言ってしまうと、淡く軽やかで、かつ、親密な芝居を楽しみたい!という場合は、輸入盤 DVD ガーディナー指揮/モンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ《コジ・ファン・トゥッテ》のライヴ録画をどうぞ!というご案内でした。
ではまた!













