2009年03月24日

NHK BS2 父の音楽 指揮者スウィトナーの人生 / オトマール・スウィトナーおすすめCD

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輸入盤 オトマール・スウィトナー Otmar Suitner:Legendary Recordings(10枚組)のAmazonの商品頁を開く前回に引き続き、NHK BS2で放送されたドキュメントを今ひとつ。

『オーケストラを守れ 〜 ノルウェー放送管弦楽団の奮闘』の後に放送された、

 父の音楽 指揮者スウィトナーの人生

は、素晴らしいドキュメントでした。指揮者オトマール・スウィトナーはNHK交響楽団でも長く仕事をされたのでご記憶の方も多いと存じます。主情的になりすぎず、といってドライで軽やかにならずに、中堅の真面目な指揮者といった印象でしょうか。

元々、オーストリアの出身で、母親はイタリア人のスウィトナーは1922年生まれ。ドイツが東西に分断されていた時代、元々は西ドイツで仕事をしていましたが、東ドイツの伝統あるシュターツカペレ・ドレスデンの仕事を引き受けたのが1960年。その後は、東ドイツでのキャリア形成に軸を移します。

既に妻帯者であったスウィットナーでしたが、1960年代後半、バイロイトに客演に呼ばれた際、一女性とであって両者運命を感じて恋に落ちます。その間に出来た息子さんが、イゴール・ハイトマン Igor Heitmann。彼が映像制作者となって監督したドキュメンタリーが本作品という次第。2007年の制作です。

NHK BS2 父の音楽 指揮者スウィトナーの人生 2009年3月23日放送

ハイトマン母子は西ドイツに居たので、父と十分に交流を持てなかった息子のイゴールによる、父親探しのドキュメント−簡単に言えば、そういった作品です。しかし、内輪向けの礼賛ものには陥らず、ちょっとした苦みと共に人生を感じさせ・考えさせる良いもので、すっかり見入ってしまいました。

1990年代には、パーキンソン病の症候が現れて、舞台を降りたというスウィトナー。幼少時の記憶の彼方にしかその指揮姿を覚えていない息子が

「僕はお父さんの指揮の姿をもう一度観たいのだけど」

と水を向けます。息子だから許せる無茶な要求ですが、

「年をとって怠け者になったんだよ。年を取るとなにもかも邪魔に思えるんだ。」

相変わらずの長身ながら、すっかり痩せ衰え、目の輝きも曇ったスウィトナーの返事は、見ていて複雑な思いでした。

いまは、スウィトナー、正妻、ハルトマン母子は、みなで週に一度食事を楽しむ関係だそうです。そんな姿を映したり、スウィットナーの思い出の舞台を内縁の妻ハルトマンとともにめぐって、なれそめの思い出話がはじまったり。ここは甘くて、ほほえましい場面。スウィットナーの現役時代の映像も交えながら、やわらかにドキュメントは続きます。日本での映像も比較的長く取り上げられてちょっと懐かしい思いが致しました。

正妻もきちっと印象が弱まらないよう配慮して登場させ、やはり「愛人が居たと知って辛かった、、、」と語らせていることに、監督であるイゴールの気遣いが現れています。同時に正妻の方も強い方だと感心しました。

番組後半、息子の願いを引き受けて、指揮の棒をとることになったスウィトナー。かつて仕事を共にしたベルリン歌劇場管弦楽団との練習風景が長く映し出されます。曲目は、スウィットナーの得意としたモーツァルトから交響曲 第39番 Kv 543と、ヨーゼフ・シュトラウス ポルカ・マズルカ《とんぼ》 Op. 204

練習前には、

「息子のためにやるだけだ」

といっていたスウィトナーでしたが、練習の中では、表情に活力がもどったようで、見ていてほっとしました。

ポルカ・マズルカの《とんぼ》について、番組内でスウィットナーが面白いことを述べていました。「一番好きな曲」と語っていたもの。「交響曲だと居眠りをする人もいるけれど、とんぼではそんなことはない。人の気持ちを明るくさせる曲だ。とんぼが飛んで行く姿を音楽で表現するのが、なかなか難しい」−大体、そういった内容です。

最後は、父親の故郷、オーストリアのインスブリュックを訪ねたオトマールとイゴール父子。父の衰えをみとめたくない息子ともう自分もすっかり年老いたと静かに語る父の姿を映して、このドキュメントは終わりました。

ありきたりのことであっても、当人にとっては十分なドラマを、ひとそれぞれが持っている。しかし、新奇性などなしに、当たり前のことを当たり前の様に映しても、十分力がある物語を強く感じさせることができる。そんなことを思いました。そして、その当たり前を感じられない人が、新奇性で外見を飾って、虚飾のふるまいをするのだろうな・・・と。

オトマール・スウィトナー おすすめ名盤 CD:モーツァルト 交響曲第39番 K.543ヨーゼフ・シュトラウス ポルカ・マズルカ《とんぼ》 Op. 204

輸入盤 オトマール・スウィトナー Otmar Suitner:Legendary Recordings(10枚組)のAmazonの商品頁を開く上述のドキュメントは、DVDが出ていないのがなんとも残念。そこで、番組内でおもに取り上げられたモーツァルトの交響曲第39番とヨーゼフ・シュトラウスの《とんぼ》の二曲について、スウィトナーのおすすめ名盤をご紹介したいと思います。

現在、双方国内盤で揃えるのは難しいようですが、輸入盤ならば、マーケットプレイスで安価で手に入ります。スウィトナーの得意のモーツァルトを中心に、さまざまな管弦楽作品を集めたセットで、演奏はシュターツカペレ・ドレスデン。曲目詳細は以下の通り。

輸入盤 オトマール・スウィトナー Otmar Suitner:Legendary Recordings(10枚組)。の曲目詳細

  • CD1:
    モーツァルト:交響曲 第28番 Kv 200 / 第29番 Kv 201/ 第30番 D-Dur Kv 202
  • CD2:
    モーツァルト:交響曲 第31番 Kv 297 パリ / 第32番 Kv 318 / 第33番 Kv 319 / 第34番 Kv 338
  • CD3:
    モーツァルト:交響曲 第35番 Kv 385 ハフナー / 交響曲 第36番 Kv 425 リンツ / 第38番 Kv 504 プラハ
  • CD4:
    モーツァルト:交響曲 第39番 Kv 543 / 第40番 Kv 550 / 交響曲 第41番 Kv 551 ジュピター
  • CD5:
    モーツァルト:セレナーデ 第13番 Kv 525 アイネ・クライネ・ナハトムジーク / 第6番 Kv 239 セレナータ・ノットゥルナ / 第2番 Kv 101 (250a) / 第8番 D-Dur Kv 286 (269a) / 音楽の冗談 Kv 522
  • CD6:
    ビゼー:交響曲 ハ長調
    カール・マリア・フォン・ウェーバー:交響曲 第1番 C-Dur
  • CD7:
    チャイコフスキー:弦楽セレナード Op. 48
    ヨーゼフ・ランナー:シチリア風舞曲 Op. 165 / シェーンブルンの人々 Op. 200 / 宮廷舞踏会の舞曲 Op. 161
    ヨーゼフ・シュトラウス:ピチカート・ポルカ / ポルカ・シュネル 休暇旅行にて Op. 133 / ポルカ・マズルカ 女心 Op. 166 / フランス風ポルカ 水車 Op. 57 / ポルカ・マズルカ とんぼ Op. 204 / フランス風ポルカ 鍛冶屋のポルカ Op. 269 / ポルカ・シュネル おしゃべりなかわいい口 Op.245
  • CD8:
    スッペ:美しきガラテア 序曲 / 詩人と農夫 序曲 / 怪盗団 序曲 / 軽騎兵 序曲 / 水夫の帰国 序曲 / スペードの女王 序曲
    ロベルト・フォルクマン:弦楽セレナーデ第1番 ヘ長調 作品63
  • CD9:
    マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 巨人
    R.シュトラウス:メタモルフォーゼン
  • CD10:
    ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
    ストラヴィンスキー:春の祭典
    ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

新譜二枚程度の価格が嬉しい所。

モーツァルトの後期の交響曲は、聞き始めた方には楽しいものでしょう。もうそれはもっていらっしゃる方にも、CD5〜8あたりの曲、またCD9のR.シュトラウスのメタモルフォーゼン(晩年のシュトラウスの名曲!)などは、なかなか揃ってないかも・・・と思いますが、いかがでしょう?よろしければご検討くださいませ。

では!


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スウィトナー指揮/シュターツカペレ・ベルリンの録音です。

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posted by sergejO at 18:07 | Comment(2) | TrackBack(0) | TV番組から
この記事へのコメント
交響曲全集関係は、ベルリンのほうでしたよね?

ドレスデンとの録音は、モーツァルトのハフナー、リンツ、プラハが衝撃的でした。10代の最後に、自分たちがリンツをやるので参考の為に廉価盤で発売になったものを買ったのですが、
「え? これが、あのN響に来ているスウィトナーさん?」
と、絶句してしまったことを鮮明に覚えています。

シュトラウス一家のものや、オペレッタの序曲も、決して軽々しくないんですよね、とても楽しいんだけれど。

シュターツカペレ・ベルリンとの録音でも、モーツァルト序曲集やハンガリー舞曲全曲みたいなのが、わりとお気に入りの私でありました。
Posted by ken at 2009年03月25日 00:37
>交響曲全集関係は、ベルリンのほうでしたよね?

あっ、いけない!そうでした。訂正しまっす。

>シュトラウス一家のものや、オペレッタの序曲も、決して軽々しくないんですよね、とても楽しいんだけれど。

同感です。今回のドキュメント見て、「やっぱり、そういうものが好きだったんだなぁ」と。

本文中に書きませんでしたが、ドレスデンは音に惚れ込んでそこでのキャリアを選んだようです。正確に覚えていないのですが、「多彩な音で、宝石のようなんだ」と、スウィトナーさんは遠い目で語ってらっしゃいました。
Posted by sergejO at 2009年03月25日 02:28
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