2007年11月13日

ヴァイオリニスト ジョゼフ・シゲティ ― 1931年(昭和六年)東京朝日新聞インタビュー 2/2

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昨日に引き続いて、昭和6年5月シゲティ来日時の東京朝日新聞インタビューご紹介です。今日こそインタビューの核心に迫ります ― 昨日、脱線しすぎました・・・

この演奏会は5月26日〜30日の5夜連続の講演。演奏曲目は昨日ご紹介したwebsiteにございます。

公演初日の5月26日、牛山充氏によるシゲティへのインタビュー記事が掲載されます。帝国ホテル滞在中のシゲティを訪ねたという体裁です。

上衣を脱いでプロコフイエフの協奏曲を練習中であった氏は、「こんな様子で御免下さい。さあどうぞこちらへ」とイスをすゝめ・・・

なんだか漱石の『それから』でも読んでいるような調子ですが、まずシゲティはバッハのト短調のソナタを弾いて、その解釈について語ってくれたそうです。その内容ですが、シゲティはこの曲をバッハが自らに問い掛けた哲学的対話と捉えます。曲冒頭の動機を主題として、バッハはそのテーマについてさまざまに議論を進めながら、最後に正しい解決を提示しているのだと。

それまでに経過すべき哲学的思考のプロセスが如何に音楽的にかつ必然性を保持しつつ展開されているかといふことについて、精細を極めている(これ以降も原題表記に替えて引用しています)

バッハの音楽が音楽的にも技巧的にも最高であるが、日本ではまだちゃんと演奏されたことが少ないのが残念だ。自分は日本の聴衆の趣味と理解とに信頼して、今回の自らの演奏会で全力を尽くしてそれを紹介したい、とシゲティは続けています。

このインタビューは決して長いものではありませんが、シゲティの趣味・思想が率直に語られているように思います。

質においてバッハに次ぐものはモーツァルトであるとし、その特徴を透明性、純粋性と規定してます。近年この特徴を示して優れた演奏をする音楽家はトスカニーニ、ブゾーニ、カザルス、ギーゼキング、バックハウス、コペー弦楽四重奏団らで、モーツァルト以来忘れられていた様式に再び至る道を開いてくれているのだと。

ウィルヘルム・バックハウス(リンク先のLook4Wieck.comの記事で略歴やおすすめ名盤などご紹介しております。)などは晩年にモーツァルトを取り上げたという記述が多いような気がしますし、わたし自身そう思って居りましたが、この当時でも一流のモーツァルト弾きという評価があったのですね。

また、上述の演奏家たちがモーツァルトの透明性・純粋性を示そうとするのは、リヒャルト・シュトラウスやグスタフ・マーラー一派の徒にコロッサルな構成上の外観主義に対する反動なのだと位置づけ、自分もこの反対運動の一兵卒として戦って来たと語っています(コロッサルは、colossalのことで「壮大」なといった意味。ここでの反動には否定的な意味はないと思います)。そして、アメリカの聴衆は近代的なものを好むので、この戦ひは容易ではなかったとも。

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昨日・今日とご紹介致しましたシゲティへのインタビュー記事ですが、本人の言葉は以上ですべてです。この後、28日にコンサート評が載っていますが、簡単に言いますと、シゲティの気高さを誉め、シゲティに於いては、この内面あってこそ、あの美しい音が出るといった内容になっております。

それではまた明日!
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