2007年12月26日

横山幸雄著『ピアノQ&A 136』のご紹介! − 誰にでもお薦めできる好著と思います

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先日こちらの記事でちょこっと触れた書籍、横山幸雄著『ピアノQ&A 136』について、本日はきちっとご紹介しようと思います。

著者横山幸雄氏については公式websiteにあるProfileをご覧いただくのが一番正確かと思います。演奏模様のVTRは探せませんでしたが、ちょっと前にこのブログでも記事にしましたショパンの練習曲の公開レッスン映像など大変興味深いものです。

さてこの書籍ですが、ピアノの演奏法から楽しみ方まで136種のさまざまな質問に著者が答えるというもので、大変読みやすい上に、内容も明快かつなかなか世間で聞けない率直な意見もあって誰にでもおすすめできる好著と思います。

構成は上・下の二巻。136の質問は下記のごとく、10個のパートに分けられています。

  • 上巻 161ページ
    • 1.ピアノの楽しみ
    • 2.学ぶ・教える
    • 3.ピアノ練習法
    • 4.テクニック
    • 5.ペダルの秘訣

  • 下巻 193ページ 〜 巻末にディスコグラフィー付き
    • 6.楽譜を読む
    • 7.ピアノを弾く前に
    • 8.音楽づくり
    • 9.仕上げ・演奏
    • 10.プロ演奏家の秘密

ご覧の通り、ピアノ学生の方や趣味で弾かれる方には実質的な助言になるのは勿論、それ以外の(私のような)一般の愛好家が読まれてもいろいろ興味深く、ヒントになるようなことが多い書籍です。クラシックを聴き始めた方、これから聴いてみたいという方には特にお薦めしたいもの。私自身、こういう書籍に20年前であっていたらと思いました。

説明だけでは何とも伝わり難いと思いますので、幾つか面白い部分を引用致しましょう。クラシックって難しいのですか?高尚なイメージがあってなじめない・・・という質問には、

少し前の我が国では「ありがたいもの」として聴くことによって、「堅苦しくて楽しめない」という人も多かったのではないかと思う。最近では逆に、ありがたみも忘れてしまい、表面的な面白さを追い求める傾向があるような気がする。どちらも正しい方向とは言えない。

と自分の考えを明快に示した後、

「こういうものを聴きたい」と思い、自分の持つ自然の感覚のままで、音楽に向かい合ったらよい。その結果、さらに深く作品を知りたいと思う人もいれば、いろいろな作品を聴いてみたいと思う人もいるだろう。要はとりあえず一度、素晴らしい音楽の海の中にどっぷりつかってみてはいかが?

と結びます。他のページの発言から、様々な時代の音楽を聴くこと、できればさまざまな楽譜を見て検討すること、また一人二人の演奏家に固執せずさまざまな演奏家を聴いてみることがきっとより豊かな体験になると考えているように伺えます。

子供への音楽教育のポイントは?という質問には、

ごく幼い時期で一番大事なことは、まず音楽を好きになることである。どうしたら好きになるのか。もっとも大きな要素は、音楽をどれだけ聴いているかだ。いい音楽を聴いて何も感じなければ、ピアノの勉強をしても進歩することはまずあり得ない(中略)僕にとっては幼い頃から、音楽とは当然のようにクラシック音楽であり、バックハウスのべートーヴェンやルービンシュタインのショパン・・・・・・といったところがお気に入りの代表だった。

これについては、他の箇所でもたびたび、親は練習を強いることより、自然な環境づくりにもっと注力すべきじゃないかという疑問を呈しています(まったく余談ですが、わたしが志ん生や米朝が好きなのは親からの自然な影響です。いつか落語の話もここで書こうかな、、、)。

ピアノ学習者向けには、メトロノームの使い方はどうすれば?音大に入る意味とは?肩の力を抜くとは?コンクールの意義は?等々、さまざまな質問があって、いいところを挙げると切りがないと思います。

美しい音色とは?という質問には、音色をとらえる切り口もいろいろあると、和音のどの音を強めるかの音色の違い、作曲家の好む音符そのものによる音色の違いを軽く説明した上、

さて、演奏者の音色の「暗い」「明るい」について言えば、たぶん音色が暗く感じられてしまうのは多くの場合、旋律がつくる音楽の輪郭がはっきりしないでぼやけていまっている場合ではないだろうか?

とメロディを構成する部分とその他の音とのコントラストの表現に問題があるケース、またリズム感の重さが「暗い」印象を生むケースもあると指摘。そして、

一般的にそういったことを全部ひっくるめて「暗い音」「明るい音」という言葉を使う傾向があるような気がする。先生が生徒に対してアドヴァイスするという点から考えれば、もっとより的確なボキャブラリーを増やす必要もあるのではないだろうか。これは現在ピアノを勉強している人に取ってだけでなく、将来教える立場に立った時にも必要となる事柄だ。

と率直な意見を述べています。これは大変貴重なことと思います。

一般の愛好家・これから聴き始める方にも本著をおすすめしたいのは、まさにこういった箇所があるからで、他にもタッチのやわらかさ、色彩感、和声感、様式感等々の言葉についての説明もあり、さまざまな演奏者を聴いて行く上で益すること大と思います。また、いろいろな本が(そもそも、わたしのブログ自体そうですが)、音色が少ない、和声感が乏しいなどと一言で片付けていることが一体なんなのだろう?本当に正しいのだろうか?と考える一助になると思います。

上に引用した部分は、実は上巻のみ。いかに内容に富んだ本かご想像も難くないのでは?

年末・年始の休暇中に読みたい本をお探しの場合は、ぜひどうぞ!

欠点があるとすれば面白すぎてすぐに読み終えてしまうくらいです。
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posted by sergejO at 20:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 名著ご案内!
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