2008年01月05日

思い出のヴァイオリン・コンサート − ピンカス・ズーカーマン日本公演 1991年5月17日

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昨日の五嶋みどりさんのコンサートの記事で、ヴァイオリンのコンサートは久しく行ってないので評価に自信がないです、、、などと書いたので、「そう言えばどんなコンサートに行っていたんだろう・・・」と見てみますと、やはり、オーケストラやピアノ・リサイタルはいろいろと出てきますが、ヴァイオリンは結構少なかったです。

それも例えば旅先のブレーメンで聞いたベルグのヴァイオリン協奏曲で演奏者の名前もぜんぜん覚えていないといったケースが多々あったり・・・。そのブレーメンでのコンサートと言えば、終楽章だったかオーケストラの最強音で、「あああぁぁぁ!」というようにソリストが両手を高々と上げたので、場内で皆が顔を見渡してしまったのが一番の記憶!隣のドイツ人のお婆さんに「なんなのあれは?」見たいなことを言われたようですが、ドイツ語が判らないので「さぁ〜?」と首振るだけでした。オーケストラのメンバーも弾きながら驚いてました。

たまに見つかる有名どころというとアイザック・スターンの日本最終公演だったり(これが特に記憶にないのです)、諏訪内明子さんのチャイコフスキー受賞後の公演だったり(ネヴィル・マリナーとの共演でした。正確なテクニックながら、前の方に座ってましたが音が随分小さかったな、、、)。ここ数年は有名どころは行ってなかったですね。

と、そんな中でも今でも忘れ難い公演が一つあります。それがピンカス・ズーカーマンの来日公演。チケットを探したら、1991年5月17日(金) 東京芸術劇場とありました。まだ学生だったので学生券で2.500円です。

伴奏のピアニストはマーク・ナイクルグ。曲目は、チケットに書き入れたものを見ると、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ2曲武満徹の何か、それにブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番とあります。

モーツァルトなどはズーカーマンの艶っぽくて、やや厚めのロマンティックな音色に合わないなという印象。フレージングも確かモーツァルトっぽくなかったような。武満は特に記憶にないのですが、圧巻がこの晩のメインのブラームス

出だしからズーカーマンがここぞというばかりにロマンティックに弾く音に魅せられましたが、特にアダージョの第二楽章でズーカーマンが思い入れたっぷりに歌わせたのがほんとに見事で、場内の雰囲気がしーーんと変わった感じが、いまでもその音色と共に印象に残っています。感傷的で甘い演奏で、そういってしまうと苦手な方もいるかもしれませんが、ぐずぐずに熟れた甘い果物といいますか、おいしい甘いお酒といいますか、そんな感傷もいやらしいものではなくほんとうに甘いけれど上品なものでした。

「楽器が鳴り切るというのはあーゆーことを言うんだろう」とその後友人に語ったりしたものです。

よいコンサートだと場内からすぐに拍手が起こらないなどと言いますが、この日のブラームスはまさにそれで、残った音が消えて欲しくない、拍手で消したくないと会場全体がそういう気持ちのように感じました。そもそも圧倒されていて手が動かせなかったといった方が良いかも。

ズーカーマンにはこの日の演奏者ナイクルグとの録音もありますが、私としてはバレンボイムと共演したブラームスのヴァイオリン・ソナタとヴィオラ・ソナタ全集をお薦めしたいと思います。冒頭の写真がそれです。ヴァイオリン・ソナタのCDは当時既にもっていましたが、バレンボイムに比べたらナイクルグはあっさりしていたかなという印象があります。

その晩、帰ってすぐCDで確かめてみたので覚えていますが、99%まさしくこのCDに入っている音でした。自分が所有しているステレオが貧弱なのでこういう話もなかなか難しいですし、何%かどうかというのはまぁ形容詞に過ぎませんが、この残りの1%はやはりコンサートホール特有の音の広がりあってのものなのでしょうか。最後の最後に神韻達したとでも言いたいこの1%は、記録されずにいま鳴っては消えて行く音だからこそ尊く感じるのかも知れません。

その部分を取って「やはり録音では全然違ってしまう」というかどうかは人それぞれでしょう。私は99%のCDも好きで買い集める類です。
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posted by sergejO at 16:41 | Comment(3) | TrackBack(0) | その他
この記事へのコメント
はじめまして!本日、ズーカーマンのリサイタルに参りました。そして私も、1991年の芸術劇場に足を運んでおり、こちらのブログを拝読してとても懐かしく、思わずコメントをさせていただきました。本日のプログラムは、1991年の再現のように、ブラームス3番をメインに、前半ではフランクのイ長調ソナタもあり、相変わらずの美音に酔いしれてしまいました。すばらしかったです。
Posted by こっこ at 2013年05月19日 18:59
こちらこそはじめまして!コメントありがとうございます。
フランクのソナタが大好きな曲なので、今回の来日も気になっていたのですが、やっぱり良かったんですね。
「相変わらずの美音に酔いしれて」と伺っていても、こんな音だったんだろうか・・・とあれこれ想像してしまいます。
Posted by ブログ主 at 2013年05月20日 13:29
お返事ありがとうございます!ズーカーマンは音の追求を限りなく行う方なのだな、と思いました。年齢を重ねた存在感や技量が落ちて解釈が勝るという弾き手ではなく、ヴァイオリンという楽器の極限まで使いこなして音に挑戦する感が今回も感じられました。力強い美音がぶれないし、当たり前に弾いてしまうので、どんな難曲もないというような余裕を感じてしまいました。
Posted by こっこ at 2013年05月21日 08:10
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