さて、このシリーズ、どれか一冊ご覧になった方はご存知と思いますが、骨格を紹介すると200頁ほどの本文が伝記および主要作品紹介に当てられ、付録として − といっても結構なページ数ですが − 年表(年譜)および作品一覧、主要参考文献一覧などがついています。
楽曲解説などは割りと省いて、一般に判りやすく記述しながら、さまざまな曲に親しんでもらおうというコンセプトかと思います。
ある程度ご存知という方には、それほど目新しい記述はないかも知れませんが、シューマンの家柄についての詳細や指を壊すに至った機械の図版が出ていたり、室内楽にも重点が当てられているのが個人的にgood!だったりと興味深く読めました。
こういった作品紹介はいろんなジャンルのものをまんべんなく取り上げるので、これからいろいろと聴いていく為の参考になってありがたいです。
記述の仕方をもうちょっと工夫すると、年月の流れと人物像がもっと判りやすくなるかな〜と感じるところもありますが、全体的にはそんなことは些細なことで、おすすめに値するものと思います!
安価な価格も魅力です。
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そうそう、言われて見れば当たり前の話ですが、本書巻末の主要参考文献一覧でシューマン自身の書き物が多いことにも気づかされました。
現在、原語でももろもろ刊行が進んでいるそうで日本語でも早く読めるといーなーと思います。せめて、英訳があれば、、、
今現在、日本語でも読みやすいシューマンの著作と言えば、以前このブログでもご紹介した『音楽と音楽家』があります(写真はわたしが持っている旧版のもの。最新版では白い艶のかかったカバーがついています)。
これが名言・名批評に溢れたもので、今でも古くさいなんてことはなく面白く読めると思います。シューマン自身専門的なややこしい記述を控えているのか、訳者の吉田秀和氏がそこを選り分けたのか、特に音楽的な知識がなくても楽しめるもので、未読の場合はぜひ!どうぞとおすすめしたい一冊です。
例えば、ベルリオーズの『幻想交響曲』についての一文などもほんとそーだなーという内容で、シューベルトの後期の作品発見の顛末をつづった文章は感動と尊敬に溢れた美しい文章。自作の《子供のためのアルバム》に付された箴言集も載っていて、これは私自身がいろいろ聴いて行く上でも参考になりました。
ではまた明日!
読まねば!
このシリーズ、内容が良心的で、いいですよね。
ハイドンが、早く出てくれないかなあ、と思っているんですけれど。日本語で読める手軽なハイドンの全体像がなくなって久しいので。。。
このシリーズって、人物描写も偏りがないし、特に作品紹介は「聴きたい!」って思わされる書き方うまいですよね。
お手軽入門書なんて侮れないです。