2008年02月19日

衛星第2放送のバレンボイム マスタークラス第五回 − 生徒シャイ・ウォスネル Shai Wosner その二

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昨日に引き続いて、生徒にシャイ・ウォスネル氏を迎えたバレンボイムのマスタークラス第五回。昨日はレッスンの模様について書きましたが、本日はレッスン後の会場との質疑応答について。

さて、Q&A形式で詳述致しますと・・・私流にかなり強引にまとめたので、意味を取り違えていたりしたらすみませんっ

Q.ピアノを弾くことと、管弦楽曲、声楽曲などとの関係をどう考えますか?
A.(バレンボイム)ピアノは音色を作らずとも取りあえず音が鳴ってしまうので初学者もはじめやすい。自分はその点、音色についてはニュートラルで“つまらない”楽器とさえ言いたい。ただ、様々な音色を描こうとすれば実は大きな自由・可能性を秘めているので、ピアノの為にさまざまなジャンルの音楽を聴くことは大変重要
とは言え、自分がピアノを弾く時に、これはオーボエ、これはクラリネットといった割当はしない。練習中・演奏中に何かの楽器の音がふいに想起されることはある。

次の質問は、子供ならでは?の難しいもので、バレンボイムもちょっと回答に間がありました。

Q.解釈はなぜ必要なのですか?
A.(バレンボイム)例えばべートーヴェンとドビュッシーで比べれば、ダイナミック(音の強弱と言い換えていいと思います)、リズム、聴きやすい音、聴きにくい音と楽譜を見れば様々な違いがある。これが本人の様式の差であったり、時代による差であったり、さまざまなもので、不注意に同じように弾いてしまってはその差が判らないし、面白いところがわかりにくい。
ダイナミックで言うと、べートーヴェンはクレッシェンドに至る長いラインで音量を制御することが重要。これを早く音量を上げすぎるとクライマックスがクライマックスにならない。いわば重さに対する感覚が必要。対して、ドビュッシーでは音はすばやく広がったり、しぼんだりさせる軽さが面白さにつながる。

バレンボイムの言葉はずばりとした答えではありませんでしたが、スコアの通りにやるといっても、実はその読み方で千差万別になるのであり、作曲家の意図はなんだったんだろう、どうすれば音楽的に面白くなるのだろうと考えて行く行為が必要となり、それこそ解釈なのだ・・・と私はとらえました。その解釈も恣意的に「こうしたいから!」とやればいいと言うものではなく、その時代の作風、本人の作風等々の検討を通して、きちっと理屈を考えるのが重要だという立場であることは他の回の発言から伺えると思います。

また、小さなお子さんの質問が続いて

Q.(ウォスネルに)ピアノで一番難しいと考えるのはどこでしょう?
A.(ウォスネル)小さなパッセージで多くのことが表現できる。それをどうやっていくのかが非常に難しいと感じる(そう言いながら、今回のレッスンにも出て来た同じ音型を繰り返して下って行くパッセージを演奏)。ピアノの演奏も実にいろいろな細部を考えないといけないので、それを考えること、全てを演奏中にきちんと意識して、表現することは大変難しいものです。

ピアノ教育にかかわっている方からの質問もありました。

Q.子供に高度な理解、むずかしい表現が必要とされる曲を教えるのはどう思いますか?
A.(バレンボイム)私は意義があることと思います。勿論、子供にはわからないことできないことがありますが、早いうちからそういったものに取り組んで言った方が良いと考えます。(音楽に限らず)自分の教育方針全般においてそう考えています。

次の質問もなかなか興味深いもの。

Q.(バレンボイムに)さきほどあなたが大きな音を弾く時に、体を大きく伸ばしたら、大きく聴こえた感じがしました。外見(=身体表現)と音に関係はあるのですか?
A.(バレンボイム)Definitely not! 全く、ありません!身体表現(Body Languageという言葉を使っていました)はあくまで自然であるべきと思います。私は身体表現を意識せずに、耳に聞こえる音を意識して演奏に必要な自然な身振りで弾くことが重要と思います。身体表現を意識すると、耳で聴いた音をどう制御するかがうまくいきません。手や肘が勝手に音楽を作ってしまいます。力は肩から指の先に伝わるものですが、それを肘などで阻害したくはありません。体に聴こえる音ではなく、耳に聴こえる音から判断してどう表現するかが重要です。
そのために体が自然に動くというのなら問題はないはずです。

これは、私も個人的に疑問があった問題でした。definitely notは強い表現で、バレンボイムの回答は最近の傾向に対する警句と言えるやもしれません。

ご興味が持たれた方には、ぜひバレンボイムのマスタークラスDVDでご確認いただければ幸いです(このブログで同DVDを紹介している記事にリンクしています)。

では、また明日!
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posted by sergejO at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV番組から
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