2008年03月01日

本日3月1日はフレデリック・ショパンの誕生日です! − 名盤のご紹介 練習曲 Op.10&25・前奏曲 Op.28

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本日、3月1日はフレデリック・ショパンの誕生日です。『作曲家◎人と作品シリーズ ショパン』によると、生地の教会には2月22日に洗礼という記録があるそうですが、ショパン自身が3月1日としている由。

ショパンが故国ポーランドを去ったのは若干二十歳の1830年11月初頭。その月末にはワルシャワ蜂起が起きて、ロシア軍が鎮圧に動き、ポーランドの国難はさらに深まります。こういった状況において、旅立つショパン、そして彼を送り出した友人らがどんな思いで居たか、その後それぞれがどういう思いで苦難を乗り切ったのかは、とても簡単には想像し難いことだとそう思います。

*****

コルトー演奏 ショパン作品集の商品写真ショパンの名盤というと、コルトー、ルービンシュタイン、フランソワ、ポリーニアルゲリッチ、抜粋ながら素晴らしいリヒテルその他数々の名前、さまざまなスタイルが浮かんで来ます。その中からどれについてご紹介しようと考えると、既に確固たる定評もあるのでなにを今更ともなってしまいます。

一言するなら、さすがに物故した巨匠のもののみですが、最近の輸入盤のBoxセットは実に安くなっていて有り難い限りです。

フランソワ演奏 ショパン録音集の商品写真写真を挙げているのは、コルトー(6枚組 EMI)フランソワ(10枚組 EMI)のショパンのセットですが、それぞれ過去にリリースされた録音を集めて、2枚程度の価格。一枚一枚買い足して行くよりも、安上がりですし、まとめて買うとつい買いそびれてしまう小曲も漏らさずに済み、重宝しています。

コルトーと言えば、アルフレッド・ブレンデルが対談の中で、コルトーによる前奏曲の演奏を取り上げて、大変高く評価しています。『対話録「さすらい人」ブレンデル リストからモーツァルトへの道程』にありますが、この書籍、コルトー、エドウィン・フィッシャー、ケンプといった往年の大家の再評価があって、名盤探しにも面白いものです。

ちなみにブレンデルは、ヴィルヘルム・ケンプが演奏するショパンにも大変高い評価をしています。長らくCDが手に入らない状態で、私も聴きそびれていて残念です。

フランソワについては、パリのマルグリット・ロンの教室で同窓だった園田高弘の回想が自著『ピアニスト その人生』にあって面白いものです。

ぼくはフランス語があまりできなかったにもかかわらず、サンソン・フランソワ(Samson Francois 1924〜1970)とは大変親しかった。そのころは彼がパリで一番人気のあるピアニストで、チッコリーニよりもずっと人気があった。彼の演奏は、七割はちゃらんぽらんだが、三割は神業とも言えるような驚くべき演奏をする。皆にはそれが魅力的で、あとの七割は「またやってる」という感じで時間つぶしで聴いているのだ。残りの三割がフランソワの面目躍如で、そのときに出てくるのがラヴェルの『スカルボ』(『夜のガスパール』の第三曲)やショパンのバルカローレ(舟歌)だった。
(中略)
ショパンやラヴェルの魅力に触れた人が一度は通らなくてはいけない道がフランソワの演奏だ。彼のショパンはフランス風の演奏だが、僕が当時聴いたマルクジンスキー、ブライロースキーといったポーランド的な演奏は、ショパンの本質とは少し違うと思った。

この著作も自伝という楽しみだけでなく、戦前戦後の音楽受容の姿を伝え、また、さまざまな演奏上・鑑賞上の問題を投げかけてくれる良い書籍と思います。未読でしたらぜひどうぞ!

ポリーニ演奏 練習曲全曲の商品写真さて、ここまででも少々長くなりましたが、今回は私の好きな録音を、日本の名演奏家から、練習曲前奏曲一つずつ紹介したいと思います。

まずは練習曲 Op.10&25

練習曲というと、海外の演奏家で定評が高いものがポリーニの名盤(国内盤輸入盤)。これについては何をか況やですが、私が同じくらい好きなのが、横山幸雄氏の20余歳の録音(通常版Hybrid SACD)

横山幸雄演奏 ショパン練習曲全曲の商品写真横山氏がどういうことを気に掛けているかについて、以前もご紹介した上野学園のwebsite上のショパンの練習曲公開レッスンにその一端が伺えます。これをご覧になれば、「聴きたい!」という思いが強くなるのでは?映像と録音では10年以上の開きがありますが、そこで指摘されていることが実演でどうなっているのか・・・と聴いてみるのも面白いかも知れません。

こういう演奏を聴いて、機械的だというのは私にはよく判りませんし、個性が無いというのも、やはりよく判りません。

私自身いい加減な聴き手に過ぎず、なにが歴史的解釈で、なにがピアニストの独創的解釈で、どこがピアノの音の差で、はたまた、どこが録音技術の特性かと問われれば、まったく覚束ないものですが・・・いずれにせよ、これだけ筋目の通った演奏を聴けば、賞賛するのみです。

さて次に、前奏曲 Op.28は、上に書籍の引用をした園田高弘氏の演奏で!

園田高弘演奏 ショパン前奏曲全曲の商品写真私はこの録音は園田氏のショパンの中でも一番いいものと思っています。聴き始めた時、「あっコルトー!」と思いましたが、ライナーノーツに、幼少時前奏曲のレッスンになって、SP盤のコルトーの演奏をなにも判らずにただマネして弾いたら、師のレオ・シロタに勘違いされて大変誉められたとの回想がありました。(勿論、そのまま聴き進めれば、コルトーの亜流の演奏ではないと気づきます。)

ライナーノーツはピアニスト自らの手に成るものですが、園田は前奏曲をショパンの最高傑作と考えており、「その人間ショパンの複雑な性向や、陰影に彩どられた屈折した感情を、これほど見事に表している作品はほかにない」と述べています。

そして、これがまさにその通り!の演奏で、憧れや憂鬱その他様々な言葉が、音だけ聴こうと思っても浮かんで来てしまいます。

前奏曲も名演が多いものですが、この録音には技量を誇るところや、ただ奇麗に聴かせようとすることが感じられません。活き活きとしたリズム、そこかしこのテンポのゆれ、音色の豊かさやきちっと調和しながらも(比較的)強く響く低音。これらの要素は園田氏の演奏のいつもの通り。ただ、そういった全てがこの曲自体をいかに描き出すかに奉仕していて、あたかもピアニストの姿が消えて、「この曲はこういう曲だったんだ」という思いだけが残るかのようです。

ピアニストの心情ではなく、曲そのものの声が聞こえてくるような・・・こう感じるのは私だけかもしれませんが、ご興味を持たれましたら、ぜひお試しください。

ではまた次回!
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posted by sergejO at 14:09 | Comment(8) | TrackBack(1) | 作曲家の誕生日です!
この記事へのコメント
今日がショパンの誕生日とは初耳でした。
今夜、NHKのFMでショパンが流れていました。

それから、貴ブログにリンクを張りたいのですが、よろしいでしょうか。
よろしければリンクしていただければ幸いです。
Posted by Nachtmusik at 2008年03月01日 20:39
ショパン・・・弾けるようになりたいなあ!
個人的にはルビンシュタインの演奏が好きですが、ラヴェルのお弟子さんだったペルルミュテールの演奏が、本当はいちばん印象に残っているのです。この人の演奏は、いまはなかなか手に入らないので残念に思っています。

書籍では「ショパンのピアニズム」(加藤一郎著、音楽之友社2004)という、素晴らしいものもありますので、ぜひご一読を!
Posted by ken at 2008年03月02日 00:08
Nachtmusikさま、初めまして!さきほど帰宅して、トラックバックの手続き致しました。遅れて済みません!

承認制度にせずとも、業者の機械的トラックバックをふせぐ手はある(ような)のですが、不勉強でご迷惑おかけして居ります・・・

*****

Kenさま、その書籍いずれ!←いまバッハのインヴェンションやっているくらいなので、数年先か!?!?

http://look4wieck.com/asearch.php?mode=on&k=Perlemuter+Chopin

あらためて調べたら、ペルルミューテルのショパンがこんなにあったなんて、ちょっと吃驚。





Posted by sergejo at 2008年03月02日 01:47
はじめまして。
ブログランキングからお邪魔しました。

ショパンですが、圧倒的に聴かない作曲家なのですよ。コルトーは少し聴いているのですが、ほかはほとんど聴いていません。

こちらの記事を読んで横山幸雄とフランソワもぜひ聴いてみようと思いました。
特に横山氏のベートーヴェンのソナタがとても気に入っているので、ショパンも聴きたくなっております。
(いろいろ聴きたい音楽がいっぱいなのです。嬉しい悲鳴です。)

また興味深い記事を楽しみにしています。
Posted by ピースうさぎ at 2008年03月02日 09:20
初めまして!コメントありがとうございます。

実は私もショパンをまともに聞いたのって、随分経ってからで、長らくルービンシュタインの夜想曲とマズルカ、リパッティのワルツに、ポリーニの練習曲でまーいーやという状態でした(まーいーやも何も、素晴らしいものですが・・・)。

一段と印象を変えたのは、園田さんの前奏曲でした。

横山さんの、べートーヴェン全集お持ちなのですか?うらやましいです!limited Editionと知らず買いそびれています。

Posted by sergejo at 2008年03月02日 09:45
書き忘れました。フランソワについて。私はどっかの批評で、「やはりフランソワのメカニックの弱さが・・・」といった話を鵜呑みにして長らく聞いてませんでしたが(学生自分はお金もなかったし)、いざ聞いてみれば、そんなのどうでもいいという面白いものでした。

Posted by sergejo at 2008年03月02日 09:49
フランソワで「知ってる」曲を聴いてしまうとビックリするかたが多いでしょうね。娘は受験でドビュッシーのアラベスクの1番を弾いたので、何例か聴かせたのですが、フランソワをお手本にする、なんて言い出したらどうしようか、と、内心びくびくでした。

http://ken-hongou.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_85c6.html

ペルルミュテール、調べて下さってありがとうございました!
なつかしい!
Posted by ken at 2008年03月02日 22:43
前の日付なので、お読みになることはないかも知れませんが、さっきもう一度、四種類の録音と、手持ちのギーゼキングその他のものを聴いて、どれがいいなんて言うのは実に難しい話だなぁと考えていました。

今日のkenさんのhttp://ken-hongou.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/cd_79c2.htmlには実に納得です。

私はなんら深いことが書けないし、ご覧の通りで所詮なに聴いてんだかという程度なのですが、「まぁ迷っていたら、これでいいんじゃないかしら・・・」というちょっとした踏ん切りの役目くらいになればいいなーと。
Posted by sergejo at 2008年03月05日 00:27
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ショパンを聴きながら・・・
Excerpt: 先ほどまで、NHKのFMで ショパンが流れていました。 そこで今日はショパンをご紹介します。 ザ・ベスト・オブ・ショパン ルービンシ...
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Tracked: 2008-03-01 20:40
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