2008年04月03日

一昨日、4月1日はフェッルッチョ・ブゾーニの誕生日!その2− 歌劇《ファウスト博士 Doktor Faust》

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一昨日の4月1日フェッルッチョ・ブゾーニ(Feruccio Busoni 1866-1924)の誕生日でした。「また明日!」なんて書きながら、一日空けてしまいました。

さて、前回その人物について極x3簡単な説明と、書籍、ピアノ演奏について書きましたが、本日はブゾーニが未完のままに世を去った歌劇《ファウスト博士 Doktor Faust》についてです。

NaxosのYouTube公式チャンネルに、自社発売のDVD(下にご紹介するチューリヒ歌劇場のライブ)宣伝映像がありました。



長木誠司『フェッルッチョ・ブゾーニ オペラの未来』の商品写真何故これかと言うことは、深く考えないことにしました・・・が、思うに私がゲーテ好きでファウストだから&いろいろ曲調も変わって結構聴きやすく楽しめる&ブゾーニ本人にとって《ファウスト》は生涯オペラ化を希望していた作品などなど・・・

オペラが苦手で聴かないという方にも、結構、面白いかなと思ったりもします。ブゾーニ自身イタリア人でもドイツ人でもあり、嗜好もモーツァルトのオペラを重要視していたり。その辺りで、深刻すぎず、情話にも流れず、滑稽味もあってと妙な具合を保っているオペラかなと。

こういった事柄も、ブゾーニにおけるコンメディア・デッラルテの影響等々も絡めて、前回紹介した長木誠司『フェッルッチョ・ブゾーニ オペラの未来』が詳細を論じています。ブゾーニはオペラに置いて、自らの既存の器楽作品から様々に引用するのですが、その詳細も丹念に指摘してあって、ブゾーニを様々聴く取っ掛かりにもなると思います。今回の記事で様々指摘していることも、ほとんどこの書籍で得た知識なので、ご興味あれば、ぜひご一読を!

ケント・ナガノ指揮 ブゾーニ 歌劇《ファウスト》の商品写真・・・そんなこんなにプラスして、この歌劇《ファウスト博士》についてはケント・ナガノ(Kent Nagano)さんがかなりいいCDをだして居ります!も大きな理由。

ナガノさんの録音をいつか取り上げたいと思っていたので、ちょうど良い機会に致しました。

長らくこの曲の正規録音というと、フィッシャー=ディースカウらの名歌手を揃えたクーベリック指揮独グラモフォン版のみでしたが、今現在廃盤中。それと比較して聴いても、ナガノ指揮盤は、曲を活き活きと捉えて、非常に良い仕事かなと思います。

一応、書いておきますれば、歌劇《ファウスト》は未完で終わった為、まずは弟子のヤルナッハが遺族の依頼に基づいて完成しました。これがヤルナッハ版。とは言え、ヤルナッハ自身「自分には不向きです・・・」とあまり乗り気でない仕事だったらしく、また、ブゾーニの意図を知りながらも大胆にカットしてしまった部分あり・・・そこでボーモントという音楽学者の方が近年完成に挑んだのがボーモント版であります(長木誠司『フェッルッチョ・ブゾーニ オペラの未来』p.225)。

クーベリックはヤルナッハ版での録音ですが、ナガノさんの録音はヤルナッハ版とボーモント版双方を録音し、スリーブノートにそれぞれの版で聴く際の順番もしっかり書いてあるので、比較が出来るのも良いところです。

DVD ジョルダン指揮 ブゾーニ 歌劇《ファウスト博士》の商品写真昨今、DVDも出されました。フィリップ・ジョルダン指揮チューリッヒ歌劇場の2006年ライヴ録音。こちらはヤルナッハ盤

Region Codeはall regionのNTSC2枚組(つまり日本用の再生機でちゃんと見られます)。オペラ部分は172分、インタビュー等が43分。

ブゾーニは、オペラの音楽の独立性を早くから考えていたとのことで(長木誠司『フェッルッチョ・ブゾーニ オペラの未来』p.53他)、独立性とは簡単に言うと、舞台上の演技なり、セットなりで観客が判ることを、逐一音楽がなぞる必要はない。。。といった考えです。

ではそれがどういう風に試されているかというと、やはり舞台を見ないと始らないな・・・という次第でこのDVDが重宝されます。歌手はファウストがトーマス・ハンプソン Thomas Hampsonメフィストフェレスがグレゴリー・クンデ Gregory Kunde(こっちのメフィストが私にはgood job!)。

私もそういう興味でこのDVDを見ましたが、「CDとDVD共に手にするのはちょっと・・・」となる皆様も多いと思います。少なくとも最初は「どっちか一方だけ」手にしようとお思いになることでしょう。そこで、ケント・ナガノ盤のCDとフィリップ・ジョルダン盤のDVDの検討材料を挙げますと。

  • 歌手の優劣は私には輪を掛けて自信のない領域ですが、さして両者に差はないなと。
  • 何にせよオペラはDVDならジョルダン(但し、演出はなんというか結構オーソドックスで目を見張るなにかではないと思います)。
  • ブゾーニは普段からして快活でよく笑う人だったそうで、オペラにも滑稽な要素がたくさんあり。これが視覚要素がないと判り難いかもと思いました。CDだけだと、その点どうかなと。全般的にオペラは映像がないと話の展開を掴みかねることがあるので、この点でもDVD優位。
  • 上述の音楽の独立性の確認に関しても当然DVDが優位。といって、感心するほど大胆にそれが使われているかというとどうなんでしょう?この曲を普通に楽しむには気にしなくてもいいかなと思いました。
  • 指揮者の作る音楽については、正直わたしはナガノさんがいいと思います。
  • ヤルナッハ版、ボーモント版が共にきけるのもナガノ盤の長所。
  • また、DVD盤では冒頭の詩人の長い語りがカットされているのが惜しいなと。ブゾーニがどういうつもりでこの作品を作ったか等々の長口上です。ナガノ盤では妙に気になる良い語りと思ったら、これがフィッシャー=ディースカウでした。神秘的な序曲が終わると、突然語りがはじまるのが、すごく良い感じです。

こうなると、どっちにすべきかなかなか難しいところですね。

*****

そうそう、大事なことを書き忘れて居りました。ブゾーニは元々ゲーテの『ファウスト』の舞台化を考慮していましたが、言ってしまえばそれを断念して、古来の人形劇版の『ファウスト』を基として居ります。

つまり、「ゲーテの『ファウスト』の舞台を見たい!」という要望には応えていません。

なので、この劇全体は割と単純な教訓劇といったものになっています(まー、そう言い切ってしまったよいかなと)。

とは言え(ここが煮え切らないところといいますか)、ゲーテの『ファウスト』の要素も入っているので、双方知っておいた方がちょっと楽しみは広がるかなと思います。

ではまた次回!
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posted by sergejO at 18:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作曲家の誕生日です!
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