2008年04月08日

十年に一枚のレコードとグールドが賞賛したバッハ− ウェンディ・カルロス Wendy Carlos のSwitched-On Boxed Set

このエントリーを含むはてなブックマークBuzzurlにブックマークこの記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
W・カルロス Switched-On Boxed Setの商品写真・・・と書くと、あまりに真面目すぎるタイトルですが、もう一つ浮かんでいたのは、

なにか違う意味で懐かしいバッハ

であります。このCDは先日のバッハの誕生日記事で、奇を衒って、こちらをご紹介しようかなとも思っていたものです。

作者はウェンディ・カルロスというアメリカの方で、音楽と物理を学んで、黎明期のシンセサイザーを扱うようになり、1968年にSwitched on Bachを発表。バッハのG線上のアリア、ブランデンブルグ協奏曲第3番その他の名曲をシンセサイザーで実現してみた!というもの。下のアルバム・ジャケットでバッハの仕事机に置いてあるのが、そのモーグ・シンセサイザーです。

あまり奇異な目で語ってはいけないと思いますが、この頃のウェンディー・カルロスは性転換前で、ウォルター・カルロスという男性名でした。

さて、当時爆発的なヒットとなりついにはミリオンセラーに達した由。その頃はミリオンセラーはすごいことだったのです!!←20代よりお若い読者の皆様に。老婆心ながら。

W.カルロス Swithed-On-Bach の商品写真私がこの作品を知ったのは、大分前に読んだ『十年に一枚のレコード』と題されたグレン・グールドによるレビュー。これがまたグールドらしく衒学的おふざけ&真面目さの入り混じった面白い賞賛で(グレン・グールド著作集II パフォーマンスとメディア p.286)、最初は英書で読んだのでなんだか偉い苦労をしながらも、否が応でも関心を持たせられたものでした。

なお、W.カルロスはこれで一躍有名となり、The Well-Tempered Synthesizer(1969)その他の続編を発表。またスタンリー・キューブリックの問題作 映画『機械じかけのオレンジ』のサントラを手がけたりと活躍されたそうです。

実際のところ、関心を持ったままずっと来たのですが、先日Switched on Bachを含む四作品をまとめたSwitched on Box Set(4枚組+オリジナルのスリーブノートをまとめたもの+140頁に亘る録音やアレンジの詳細をまとめた新冊子)があるのをたまたま見かけて購入。

厚い冊子が入っているなら、いろいろ当時の事情が書かれているだろうという動機もありましたが、実に読み応えのあるものでした。

このBoxセットはもう10年前に出ていたようでご存知の方も多いかとも思います。

*****

では、これをいよいよ聴いてみたのですが、これが懐かしのファミコンを思わせるようなもの・・・というのは、幾ら何でも失礼な労作で、もっと音も重ねてあるし、音色もいろいろと試してあります。

厚手の解説書には、楽譜を引用しながら、ここはどう処理したなぜならば・・・という説明が山ほどついておりますので、実際に楽器を弾かれる方などは、ちょっとした高度なお遊びとしてもいろいろ興味深いものでしょう。

・・・とは言え、私などSwitched-On-Bach以降に生まれた一般的な聴くのが主の聴衆だと、ファミコン、もしくは初音ミクの諸作品を思い出してしまう味わいでしょうか。

実際、初めてCDに書けた時に、なんだこれ!ニコっとしながら思い出したのが、ドラクエや初音ミクでした。

そう言う意味では今でも新しい???

なんにせよ、ある意味、いやいや、事実ミク職人のご先祖様といってもいいのかな・・・っと思います。

そうそう、W.カルロスのwebsiteがありまして、各種エッセイ、論文、ちょっと変わったところでは色の考察など内容豊かなものなので、お時間あったらご訪問ください。

*****

これが世に出た1960年代の驚きについて、当時はシンセサイザーができた当初で一般的にはあまり知られて居なかったこと、またクラシックの歌詞を一部用いたポップソングはありましたが、正面切ってシンセサイザーでバッハをやってみました!というものも無かった・・・これらの時代状況を考え合わせないとなかなか理解が難しいやも知れません。

解説書には、W.カルロスの様々な苦労も書かれてありまして、当時のシンセサイザーの取り扱いの面倒は、ほんとに何から何まで手探り・手作りというもので、その尽力に敬服すると共にかつての最先端を懐かしむような妙な感覚になります。(工学系の方などは、その点でもっと楽しめるかも?)

シンセサイザーの開発者モーグ自身が寄せた言葉に、W.キャルロスはシンセサイザーが美学的に高い能力を持つことを証明したといった旨のものがありますが、これも当時の意義・関心を伝えるものかと思います。

実際、このアルバムの好評の結果、モーグの会社に何台も引き合いが相次いだそうで、類似のアルバムもいくつも出ています。

*****

かくなる次第で、バッハの名曲をシンセサイザー化したこの四枚組のSwitched on Box Set!

違う意味で“クラシック”というものですが、いずれにせよバッハの名曲ぞろいのアルバム。続編になるほどにアレンジも手がこんで、「そのアレンジはあり!なしでしょ〜!?」なんて楽しみ方もできるものです。ご興味持たれましたらぜひどうぞ!

クラシックがどうにも苦手ないしはゲーム音楽が好き!という方にもバッハの名曲案内に使われてはいかが?というものです。

ではまた次回!

p.s.:余談ながら、シンセサイザーのまたご先祖さまなるテルミンについては、Look4Wieck.comの記事 スティーヴン・M・マーティン監督『テルミン Theremin - An Electronic Odyssey』(1993年、米)をご覧下さい。
◎作曲家や演奏家の名前から他の記事を探すには:
作曲家から探す / 指揮者から探す / ピアニストから探す / ヴァイオリニストとその他の演奏者から探す / その他の記事(売れ筋ランキングやコンサート評etc)を見る

◎ご紹介した曲や本のジャンル(交響曲かピアノ曲か、伝記か自伝かetc)から探すには:
曲や書籍のジャンルから探す

タイムリーな記事のご購読にはRSSが便利です。
RSS 1.0(RDF Site Summary) / RSS 2.0 / はてなアンテナ
posted by sergejO at 20:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 名盤・推薦盤!(含むDVD)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: ハンドルネーム可です

メールアドレス: 未入力OKです

ウェブサイトURL: 未入力OKです

コメント: ご随意に!

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/92692802
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
Top / 記事一覧:作曲家別 / 指揮者別 / ピアニスト別 / ヴァイオリニストとその他の演奏者別 / その他の記事
Copyright© 2007-2009 sergejo_look4wieck.com All rights reserved.
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。