2008年04月17日

再販された DVD《名指揮者の軌跡》シリーズを少々ご紹介!−第二巻 フェレンツ・フリッチャイ《モルダウ》

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再販された DVD《名指揮者の軌跡》シリーズからのご紹介で、昨日記事にしました第一巻 カルロス・クライバーに続きまして、本日はフェレンツ・フリッチャイスメタナの《モルダウ》を弾く第二巻を取り上げます(長らくフリチャイと思っていたのですが、実際どちらの発音がよりよいのでしょう?)。

DVD 名指揮者の軌跡Vol.2 フェレンツ・フリッチャイの商品写真名指揮者の軌跡Vol.2 フェレンツ・フリッチャイ
オーケストラ:南ドイツ放送交響楽団
(現シュトゥットガルト放送交響楽団)

曲目:スメタナ 交響詩《モルダウ》
収録時間:リハーサル44分+本番10分(1960年撮影)




この作品、収録時間は短いものの、昨日ご紹介したクライバーと同様ないしはより素晴らしいものかと思います。

フリッチャイの略歴に触れておきますと、1914年ハンガリーのブダペスト生まれで、父親も指揮者。幼くしてブダペスト音楽院に入学し、バルトークやコダーイに師事。また、ピアノやヴァイオリンだけでなく、木管、金管、打楽器に至まで楽器をさまざま学んだ由。

第二次大戦後に母国ハンガリーを超えて注目を浴びたのは、1947年のザルツブルグ音楽祭。クレンペラーの代役で指揮をした、ゴットフリート・フォン・アイネムの歌劇《ダントンの死》の初演が喝采を浴びて・・・このサクセス・ストーリーは、ウィーン・フィル元楽団長オットー・シュトラッサーの著作や名歌手フィッシャー=ディースカウの自伝などに伺えます。

その後、さまざまな舞台で活躍しましたが、40半ばで白血病を煩い、闘病生活と小康状態での復帰を繰り返し、1963年に48歳の若さで亡くなりました。主にドイツ・グラモフォンに録音が多数残されて居り、いまだ新たにファンを掴んでいる指揮者です。

『自伝 フィッシャー=ディースカウ―追憶』の商品写真フィッシャー=ディースカウの自伝を読むと、フィッシャー=ディースカウはフィリッチャイに見いだされたと言って良いと思いますが、その出会いはフリッチャイ《ダントンの死》の初演を行った前後のことだったようです(正確には私もうろ覚えで恐縮です)。そこに描かれているフリッチャイはいかにも才気煥発で颯爽とした印象

・・・序でながら、この書籍は『自伝 フィッシャー=ディースカウ 追憶』と題され邦訳があります。400頁を超え、様々詳述された事柄を興味を引きながらも、私には読み切るのが結構大変でしたが、フリッチャイやフルトヴェングラー他との様々なエピソードに溢れたものなので、ご興味あれば。

さて、ディースカウが描くのはフリッチャイの若き頃ですが、名指揮者の軌跡Vol.2 フェレンツ・フリッチャイはその晩年の姿で、年も重ねて穏やかなという印象です。とは言え、まだ40代。これを撮影したのは、フリッチャイも大手術を繰り返し、闘病する中、小康状態を得て・・・という頃で、その姿も随分痩せてしまっています。

しかし、いざリハーサルがはじまればどうでしょう?クリクリとした眼は鋭く、好奇心に満ち、その指示は簡素で的確な印象で、動作もきびきびとし、オーケストラに歌って示す声も中々の美声で大きくよく通ります。

フリッチャイの病のことを知らない方が見れば、活き活きとした一指揮者の姿しか見えないのではないかと思うほどです。この撮影も無理を押してのもので、フィリッチャイ自身、体調を考えると収録に自信がないと語っていた由。随分無理をしているのか・・・と見ていて複雑な思いがします。

曲は上述の通りスメタナの《モルダウ》。オーケストラにストーリーを描かせようと、フリッチャイが語る言葉は、まず水滴が寄り集まり、流れが出来て、そして河になって、チェコのさまざまな風景を流れて、、、と、昨日のクライバー同様に実に表現豊かな言葉遣いです。

冒頭のフルートの掛け合いの出だしから、面白いもので、

ここはフルート2本の吹き分けが聞き取れてはいけません。
交代がわからないよう、2人の響きと音色をそろえて
始まりは遊び心を感じ、何も無いところから突然に、小さな流れが湧き出します。
〜しばらく、演奏の後〜
釣り合いが取れて来ました。

この部分にも出て来ますが、フリッチャイの技術的な指示でめだって面白いと思ったのは、楽器奏者にお互いの音を聴いて音楽を作るようにという指示が具体的なことでした

その冒頭は、フルートの旋律に、ヴァイオリンがところどころ弦をはじく音が入るのですが、

ヴァイオリンは、いまのようにフルートのブレスが必要なら、
私ではなくフルートに合わせてください

そして、流れごとの微妙な差に注意してよく聞くように

ここでまた皆で合奏になりますが、これが私などでも気づくようないい演奏になっていて、フリッチャイも満足し、

今のは室内楽でした。
4つの声部が微妙な起伏まで聞き分けられました。

このような場面は、他にもたくさんあります。どこのパートは、あちらのパートを聞いて、そこのパートはお互いの音色をちゃんとそろえて、、、そこに、楽器の弾き方・吹き方に関する指摘も要所要所入り、また、音のイメージの描写になって、、、

昨日も話した通り、わたしは聴くだけの者で、オーケストラに属しようもないのですが、このフリッチャイの指揮を見て聞いていると、なんだかすごく的確で簡素に感じます。その辺りは実際どうなのでしょう?

オーケストラに参加している方なら、フリッチャイが自分に語っているように楽しめるのかなぁと思います。

フリッチャイの映像作品は少ないという意味でも貴重ですし、なにより名指揮者がその音楽作りの現場を見せてくれる作品です。まだご覧になっていらっしゃらないのならば、ぜひ皆様にも!と強くお薦めしたいもの。

あまり、“感動”という言葉で宣伝したくないのですが、10余分を過ぎた頃には、フリッチャイもすっかり元気に見えてしまって、なんだかそこも感動的です。

最後に、私が《モルダウ》で一番好きな農村の結婚式の部分から

テレビカメラがなくても、大衆の前での演奏だと思って、音楽を視覚的にも表現しましょう。
今より弓を長く使い、力強さと無骨さを表したいのです。
(この場面は)農村での結婚式です。
〜歌いながら、指揮台を叩いて示して〜
拳で机を叩くように、床を踏み鳴らす感じで
この音楽は東欧的ですが、私も東欧の出身です。
どこからともなく、強さが現れ、すぐに愛らしさが続きます。
その強さを爆発させて!

*****

フリッチャイ指揮 アンダ独奏 バルトーク:ピアノ協奏曲全集の商品写真今回、クライバーとフリッチャイの二つを見ましたが、似ているところもあれば、違うところも沢山あるなぁとつくづく思います。このシリーズは全部で8人の指揮者を捉えています。全部を揃えるのはなかなか難しいですが、二人ないしは三人くらい選んで見比べると、また気づくことも変わろうかと思います。

ではまた次回!

p.s.:フリッチャイのCDを少し紹介しますと、名録音は沢山あるのですが、いまぱっと思い浮かんだものを三枚挙げてみると、、、

モーツァルト:ミサ曲ハ短調を入れた一枚

バルトーク:ピアノ協奏曲全集

フリッチャイ指揮 ハスキル独奏 モーツァルト ピアノ協奏曲第19番&20番の商品写真フリッチャイ指揮 ハスキル独奏 モーツァルト ピアノ協奏曲第19番&20番

他にもいろいろお探しになるには、素晴らしい録音に出会えると思います。

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posted by sergejO at 16:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目新譜!(含むDVD)
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