2008年04月23日

一月ほどずれてしまいましたが、3月9日はムソルグスキーの誕生日だったのです vol.1 − 本日は名著ご紹介

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一月ほどずれてしまったのですが、3月9日はモデスト・ムソルグスキー(1839-1881)の誕生日だったのです。といっても当時のロシアの話ですのでユリウス暦の日付、我々のグレゴリオ暦でいうなら3月21日

実は今日が誕生日というと同じロシアのプロコフィエフ(1891-1953)だったりするのですが、わたくし実はプロコフィエフってちょっと苦手かな〜というところで、さすがにこんなブログを書いているからには、「それもいかんだろ〜」と、英書なども幾つか買って来たところなので、、、今回はパス!!来年です。

金曜4月25日がチャイコフスキー(1840-1893)の誕生日でございまして、ムソルグスキーとばっちり同時代人ですので、この機会に取り上げるのは悪くないなっと(プロコフィエフもチャイコフスキーもやっぱりユリウス暦の話で2週間弱ズレます)。

さて、前置きはこの位で、今日はムソルグスキー関係の著作をご紹介!かなり面白い二冊です。

一柳 富美子著『ムソルグスキー 「展覧会の絵」の真実』の商品写真まずは、一柳 富美子著『ムソルグスキー「展覧会の絵」の真実』。ムソルグスキーの伝記と諸作品についてバランスよく紹介している本がなかなかないな〜と思っていたのですが、この書籍のあとがきを見ると

 ムソルグスキーとその時代に関する本格的な日本語文献は本書が初めてである

とのこと。そうすると、ムソルグスキーの伝記を探されていた方々は結構多いのかもしれません。

この書籍は、昨年2007年10月に発行されたもの。60頁強のブックレット600円ちょっとというお値段。私も「こんな薄くてどうかな〜」と半信半疑でしたが、率直に個人的な感想を言ってしまうと、これは買いだと思います。

目次を見てみますと(太字が目次。普通のものが我流の内容紹介です)、

はじめに p.2
簡単なロシア音楽史の説明
第1章 未来の作曲家 p.4
ムソルグスキーの生い立ち・家族・少年〜ティーンネイジャー時代
第2章「力強い一団」と共に p.10
バラーキレフとの出会い。いわゆる五人組の活動、初期歌曲紹介、ダルゴムィシスキー歌劇《石の客》の影響
第3章 ロシア・オペラの最高峰《ボリス・ゴドゥーノフ》p.26
《ボリス・ゴドゥーノフ》紹介。特に数度の改訂について、作曲者の意図を考慮しつつ説明。
第4章 《展覧会の絵》 p.35
ピアノ曲《展覧会の絵》の紹介。《展覧会の絵》の元となった絵の詳細を説明。
第5章 充実の年 p.48
晩年の歌曲集《子供部屋》・《ラヨーク》他
第6章 あらたな岸辺を目指して p.55
最晩年の未完のオペラ《ホヴァーンシチナ》と《ソローチンツィの定期市》および歌曲《蚤の歌》と最晩年の姿
おわりに

という構成。60頁強という限られたページ数ですが、ムソルグスキーの伝記と主要作品紹介、ロシア音楽史上の意義等々をうまくまとめてあって、特に著名な作品と言える、歌劇《ボリス・ゴドゥーノフ》とピアノ曲《展覧会の絵》については、一章を割いて説明しています。

ちょっとしたマメ知識としても、ムソルグスキーの名前の由来の話があったりで楽しめますし、また、それぞれの時期における他の作品の影響など、、、例えば、《ボリス・ゴドゥーノフ》でロシア語の会話を活かすのには、ダルゴムィシスキーの歌劇《石の客》の影響があるですとか・・・

こういうものはそれぞれのCDなりDVDのパンフレットを見れば、書かれていたり、書かれていなかったりですが、知っている話題としても、あらためて纏めて読んでみるのは悪くないと思います。

特に大勢の方に興味深いのは、やっぱり《展覧会の絵》の元絵について最新の研究成果を踏まえてのの紹介でしょうか?

これについて、かつて日本でも放送されたTVドキュメントの内容に不備があるとの指摘から入っていまして、その元絵の幾つかについては図版もつけてあります。様々な通説の誤解をひもとくという体で、私も寡聞にして知らない話が殆どでした。ぜひお手に取ってご覧いただければと思います。

薄い本ですのであまり内容を言ってしまうと、著者にご迷惑かも知れませんが、
もうちょっと触れて置くと、リムスキー・コルサコフによる加筆の手を除いてムソルグスキーそのものを聴き直してみるべき・・・というのも、著者が力を入れている主張の一つ。どんな加筆があったのか詳細を書く余裕がないながら、何点か具体的に指摘などもされています。

その他、ムソルグスキーを敬愛したショスタコーヴィチがどうしてその作品のタイトルをもじったのか・・・といった話にも関心致しました。

*****

さてもう一冊。いま私も読みかけの英書なのですが、これがまた実にいけてまして・・・

John Brown著 MUSORGSKY 商品写真一柳 富美子著『ムソルグスキー「展覧会の絵」の真実』は何分頁数の制限で、例えば、バラキレフとの交遊がどんなものだったか、その様子を細かくは書ききれません。

そこで、右のジョン・ブラウン著『ムソルグスキー』(John Brown, Musorgsky)。さすが400頁を超えるものですので、ムソルグスキー自身の手紙やメモを多々引用し、楽譜を用いた曲の解説などもあって、大変充実して居ります。

音楽家の言葉の引用があるとやっぱり親近感も強く増しますし、曲目の紹介も詳しいなら、これはムソルグスキーをちゃんといろいろ聴いてみようと言う気になってしまうものでしょう。

半分ほどよんだざっくりな感想で言うと、個々の問題の解釈は一柳 富美子著『ムソルグスキー「展覧会の絵」の真実』と勿論違うところもありますが、共に近年の著作で、事実の確認については大体同じものだと言って良いかなと・・・専門家の方には、「その違いが大事なの!」というところはあるかと思いますが、そこのところはあくまで“ざっくり”なのでご容赦を!

こちらも目次を紹介致しますと、

  1. Childhood and Early Years P.1
  2. The Making of a Composer I p.8
  3. The Making of a Composer II p.22
  4. The Early Songs I p.35
  5. Salammbo p.50
  6. The Early Songs II p.66
  7. St John's Night on the Bare Mountain: More Songs p.82
  8. The Marriage: Towards Boris p.102
  9. Boris Godunov: Composition and Production p.117
  10. Boris Godunov: The Music p.140
  11. Life alongside Boris I: The Nursery Completed p.192
  12. Life alongside Boris II: Khovanshchina Begun p.213
  13. Two Relationships: Pictures at an Exhibition and Sunless p.229
  14. Khovanshchina p.253
  15. Songs and Dances of Death: Last Songs p.289
  16. Sorochintsy Fair p.309
  17. Final Years p.335
  18. Postlude: The Century Since p.361

ムソルグスキー自身の言葉ってちょっと興味はございませんか?私はいままでそういうものを見たことがなかったので、この書籍を読んで、「へぇ〜」と思うことが多いです。

一つ試みに挙げてみましょう。青年時代のバラキレフとの交流がどうだったか示すムソルグスキーのバラキレフ宛の手紙から。バラキレフにピアノを選んでもらったときのこと。拙訳にて言葉のまずさはご容赦ください。

楽器を選んで貰ったことにはなんてお礼を言っていいのか。それがいい楽器なのだともうすっかり納得しています。
前もってお知らせながら、"音楽活動"をしながら一緒に夕べを過ごしたくてしょうがないのですが、今度の火曜はだめなのです。親戚のところに行かないとなりません。

これはまだピアノ到着前なのですが、到着したらすぐにまた、この楽器で最初に弾くのはべートーヴェンの交響曲第2番ですねなどと書き送っています。バラキレフはピアノ連弾をしながらさまざまな西洋音楽をムソルグスキーに教えたそうです。

その他、ムソルグスキーの周辺人物の言葉も多々紹介されていて、例えば、ボロディン(1833-1887)の晩年の回想から

(1859年当時)私は未だ熱烈なメンデルゾーン派で、シューマンのことは殆ど知らない状態。しかし、ムソルグスキーはバラキレフから学んでいて、私が聞いたこともないあらゆる音楽上の最新動向を嗅ぎつけていました。

こういう言葉は、当時のロシアにおける西洋音楽摂取の様子が生々しくうかがえて大変興味深いものと思います。

ちなみにこの英語の文章は、比較的簡単に読めるのではと感じています。もし学生の方などで、このブログをお読みの方がいらっしゃったらぜひ英語の勉強がてらにどうぞ!

英語がちょっと苦手な学生さんの方でも、こんなもの数冊読めば慣れます!まだ一冊も英書を読み切ってないと言うなら、それこそ

 Il n'y a que le premier pas qui coûte.(一歩あるけりゃ後は簡単!)

ってなものであります。

私も高校生の時は英語は随分成績が悪かったのですが、その後、留学もせずにToeic930何点だか、Toeicも同じレベルの点は取れました。テスト勉強ですので、無論、通じる通じないとはまた違います。

英書を読む際に、そのトピックの背景知識があると大変楽です。ささいなこと、例えば、その固有名詞が名前なのかなんなのか?というもので、あれっと思ったりするもの。

その為にも、ジョン・ブラウン著『ムソルグスキー』をお読みになる際には、まず一柳 富美子著『ムソルグスキー「展覧会の絵」の真実』をご覧になっておくと、随分楽になるかなと思います(その位、うまく様々詰め込んであるのが関心です)。

ではまた次回!
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posted by sergejO at 11:29 | Comment(1) | TrackBack(0) | 作曲家の誕生日です!
この記事へのコメント
自分でコメントしてしまっておりますが、他に英書を幾つか見てみましたが、情報量&情報の新しさ&ムソルグスキーの全体的な見通しを考慮すると、ジョン・ブラウン著『ムソルグスキー』(John Brown, Musorgsky)がいいという判断をしております。

ムソルグスキーをいろいろ聴いて行く上での、相方にせんとするなら、これがいいなということであります。

Posted by sergejo at 2008年04月23日 19:42
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