本日5月12日はガブリエル・フォーレ Gabriel Fauréの誕生日。
1845年生まれで、没年は1924年ですから、大変長生きしたフランスの作曲家。これまた長生きしたサン=サーンス Saint-Saëns(1835-1921)が若き日の師であり、その交流は晩年まで続き、シャブリエ Alexis-Emmanuel Chabrier(1841-1894)と共に後のドビュッシーに影響を与え、ラヴェルにとっては直接の師でもあった人物。
同じ頃に生まれた音楽家を他国に探せば、ムソルグスキー(1839-1881)、チャイコフスキー(1840-1893)、ドヴォルジャーク(1841-1904)、グリーグ(1843-1907)などが挙げられます。
フォーレの伝記と作品紹介におすすめの書籍となると、ジャン=ミシェル・ネクトゥー著『ガブリエル・フォーレ 1845‐1924』があって、これが熱い!書物でぜひおすすめなのですが、残念ながらいま在庫切れ(そうは言わないものの「絶版中」なのだと思います2009年5月注:この書籍新装復刊されました!リンク先も復刊本に変更済みです)。少々、ネクトゥーの言葉を引用致しますと、
フォーレの作品は過渡期の様相を呈しているが、彼はまずロマン派の語法を取り入れ、次いで和声に重大な刷新をもたらした。フォーレとシャブリエなくして、ラヴェルとドビュッシーの作品を理解することは不可能である。別の言い方をすれば、フォーレは十九世紀の音楽家であると同時に、二十世紀の古典的存在なのである。彼の晩年のいくつかの作品に見いだされるその語法には、もはや前世紀の面影は存在しない。
私は聴くだけの者で、この言葉の意味がどんなものなのか、楽譜を見ても判る訳もないものですが、フォーレの曲をいろいろ聴いた印象ではまさにそうだなぁと思います。
この書籍、フォーレのさまざまなジャンルの曲を解説していて、いろいろ聴き進めて行く上で大変参考になるのですが、ピアノ曲・歌曲も多く紹介していながら、フォーレの代表的ジャンルというとやはり室内楽と考えている様子・・・わたしも室内楽からいろいろ聴いてみるのが良いのかなと思っております。
特に廉価なフォーレ:室内楽曲集(5枚組)がでている現状を考えますと!
左上に写真でもお見せしているこのEMIの5枚組は、過去のこのブログでも、Look4Wieck.comでも、例えば下の記事などで、オススメしたBoxセットが(かなり)安価に再発売されたものです。
- Look4Wieck.comの記事: 2007.06.13 ベルトラン・タヴェルニエ監督 『田舎の日曜日』 (1984年、仏)
- このブログの記事:先日は横山幸雄・矢部達哉とその仲間達(?)の室内楽コンサートに行って参りました
私も二倍以上の価格の旧セットで購入したので、「あぁ・・・」とは思いますが、これから聴かれる方に幸いなのを喜ぶべきことでしょう。
フォーレの若き日の傑作ヴァイオリン・ソナタ第1番 Op.13−フォーレから一曲と問われたら、あれこれいろいろ考えはしますけれど、やっぱり、この瑞々しいVnソナタにしてしまうかな・・・−から、ピアノ四重奏&五重奏は元より、フォーレの人生最後の二曲 ピアノ三重奏Op.120そして弦楽四重奏Op.121まで入って居ります。 フォーレの名曲をいろいろと聴きたいという要望にも適いますし、室内楽のみではありますが、フォーレが長い生涯で作風が変化したのはどういところか、また、なにが変わらなかったものか、、、など楽しみ方は多いものでは?
これがまた演奏家にはパリで活躍した才人を集めていて、何度もほうぼうで繰り返しておりますが、現在リリースされているフォーレの録音の中では比較的ふわふわしておらずにきっちりした解釈が多いことが私の好みです。
曲目と演奏者を詳述致しましょう! フォーレ Fauré:室内楽曲集 Musique de Chambre(5枚組) CD1:
- ヴァイオリン・ソナタ第1番Op.13&第2番Op.108 〜クリスチャン・フェラス(Vn)&ピエール・バルビゼ(P)
- チェロとピアノのためのエレジー Op.24 〜 ポール・トルトゥリエ(Vc)&エリック・ハイドシェック(P)
- チェロとピアノためのセレナード Op.98 〜演奏者同上
- パピヨン Op.77 〜演奏者同上
- チェロ・ソナタ第1番 Op.109&第2番 Op.117 〜演奏者同上
- 弦楽四重奏曲 Op.121 〜Quatuor Bernède
- ピアノ四重奏曲第1番 Op.15 〜サンソン・フランソワ(P)&Bernède四重奏団のメンバー
- ピアノ始終奏曲第2番 Op.45 〜ジャン=フィリップ・コラール(P)&パレナン四重奏団のメンバー
- ピアノ五重奏曲第1番 Op.89&第2番 Op.115 〜ジャン=フィリップ・コラール(P)&パレナン四重奏団
- ピアノ三重奏曲 Op.120 〜オーギュスタン・デュメイ(Vn)&フレデリック・ロデオン(Vc)&J=P・コラール(P)
- Berceuse 子守唄 Op.16 〜 〜オーギュスタン・デュメイ(Vn)&J=P・コラール(P)
- Andante Op.75 〜演奏者同上
- Morceau de concours 〜演奏者同上
- Romance Op.28 〜演奏者同上
- Fantasie Op.79 〜ミシェル・ドゥボ Michel Debost(Fl)&&J=P・コラール(P)
- 4手のピアノのためのDolly Op.56 〜Bruno Rigutto(P)&J=P・コラール(P)
- 交響的間奏曲 Intermède symphonic 〜演奏者同上
- バイロイトの思い出 Souvenir de Bayreuth 〜演奏者同上
- Allegro symphonique Op.68〜演奏者同上
新譜一枚の価格ですから、これを推薦するに如くはなし、というところです。
ではまた次回!
こんな名言があったのですね!
まさしくそのとおりだと思います・・・戸いうほど詳しくないのですけれど。
それにしても、嬉しい!
でも、シャブリエはオケのプログラムに入れようとするとポシャるし、フォーレの室内楽はピアノ四重奏をやったきり。
・・・ああ、もっと弾きたいんだけどなあ。
(まず、自分が腕が悪いからなあ。。。)
ドビュッシーやラヴェルの音楽をまったく予備知識なく、
愛し、楽しむことは勿論できる。
しかし、フォーレとシャブリエを検討すると、どうして
突然変異のようなドビュッシーやラヴェルの音楽が
どうして生まれて来たか・・・という音楽的な問題が判るのだ。
シャブリエは、まだドイツ色の濃かった当時に、少しでもそこから脱しようとした作曲家でした。とは言っても、時代の子です。シャブリエが本つにやりたかったことを濾過したのがフォーレでして、ここで取り除かれた不純物は、実に多い。
サン=サーンスはそうはいかなかったことを考え合わせると、フォーレのしたことのインパクトの強さが相対的に分かりますし、その上で後継者たちを見なければ、その後のフランス音楽が理解出来ないでしょう。プーランク然り、ミヨー然り、メシアンもまた然り、だと思っております。
フランス音楽は個別の伝記は読んでいるだけで、我ながら大きな流れの見通しがゼロだな〜と今更ながら気づきました。