2008年06月04日

昨晩のコンサート!エレーヌ・グリモー(P)、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団 於サントリー・ホール

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昨晩(2008年6月3日)は、サントリー・ホールに、エレーヌ・グリモー(P)、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団のコンサートを聴いて参りました。向こうの綴りを書いておくと、Hélène Grimaud, Paavo Järvi, Radio Sinfonieorchester Frankfurt。

現在の中堅どころを集めたと言って良いのでしょうか?楽しんで帰って参りました。

プログラムは、
  • ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
  • グリモーのアンコール ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番 作品109 第1楽章
  • 20分休憩
  • ブルックナー :交響曲第7番(ノヴァーク版)
  • オーケストラのアンコール ステンハンマル:カンタータ『歌』から 間奏曲

では一曲目の協奏曲から順に、(あくまで)私見をご報告します。

グリモーはTVでかつて何回か聞いた程度で、よく掴めなかったので、確かめるつもりでした。

ピーエル・バルビゼの弟子にして、パリ音楽院首席卒業ということで、かっちりした演奏をするのかなと思っていましたが、さに非ず。

陶酔しながら自分の音楽にしてしまうと言ったら良いのでしょうか?

それが、いやらしくならず、嫌味にならず、独特なもので、CDよりもライヴで魅力的なのでしょう。こういう演奏家は、固いことをいわずに好きに弾いてもらうのがいいと感じました。

協奏曲は全くソリストとしての演奏。自由に引き延ばしたり、遅くしたり、、、率直に言って、ヤルヴィとオーケストラはやりにくかったように思います。ただ、ヤルヴィは「こうだぞ!」とはせず、タイミングだけ合わせて、彼女の好きにまかせたようです。オーケストラは古典的な音楽作りだったので、ちぐはぐさが微笑ましいというものでしょうか。

グリモーは構築感ですとか、大きなラインというものが、かなり自己流。音の強弱も唐突だったり、ちょっと固さや雑さもあって、テクニックにも弱いところがあるのかなぁとも。

そういうところで評価しないほうが良いでしょうし、ファンの方々も「そこは置いておいて」という評価だと思います。

彼女はもっと幻想的な曲で、ソロなら面白いかも・・・と思っていたところにアンコールのべートーヴェンのソナタの30番

これも厳しい先生なら模範にしない類いの演奏でしょう。しかし、不思議に心にしみいるものだったのは確かです。

演奏後、オーケストラにもなんどもお辞儀していたのが、また印象に残りました。

さて、協奏曲での、ヤルヴィとオーケストラですが、古楽器派の流れを組んで第一楽章は完全にノン・ヴィブラート。第二楽章では長いフレーズを中心にヴィブラート使用、第三楽章ではほんのごく一部。折衷的ないしは、19世紀初頭まで(?)のスタイルというよりは、全般的に古楽器派的演奏だと思います。これが不自然かといいますと、特に第一楽章は、こういう音、ああいう音と表情をきちっとつけていて面白く聴けました。(次回は、現代的演奏で聴いてみたいとも思います。)

休憩を挿んでのブルックナー交響曲第七番。敢てノヴァーク版を選んでいるのでしょう。

こちらは規模も拡大し、当然、弦もヴィブラートを使う現代的方法です。

これは正統的な実によい演奏でした。近年、リズムと音の強弱だけの指揮・オーケストラに出会うことが多かったので、久しぶり満足でした。解釈云々というのは、この位の響きをもって、やっと始まるものかなと。

フレージングも丁寧で細やかに変化を見せ、パッセージ毎にちゃんと弦の音が表情を変えます。荒々しい音、軽やかに浮かぶような音、べたーーっとした音、ふくよかな音 etc etc。ヤルヴィの指揮はいまの基準ならそれほど細かい指示ではないものでしょう。しかし、その音の表情付けは常にはっきりさせていました。「そういったことをちゃんとオーケストラと練習したんだな」と見えました。

オーケストラはちゃんとお互いの音を聴いて、一つの音を作ります。木管・金管その他も全体に丁寧に合わせようとしていました。オーケストラの全ての瞬間がとは言わずとも、そこかしこに「そう、それ!」という素晴らしい部分がいくつもありました。

ヤルヴィも少なくとも今は、世紀の大指揮者ではなく、今後も期待される中堅というところでしょう。オーケストラもやはり中堅と思います。心をつかんでゆさぶるような音楽というよりは、実に丁寧な真面目なものだったと、わたしには感じられ、そこに大変満足しました。あれだけ真面目にやって貰えれば満足です。

今回のわたしの座席は正面二階席でしたが、舞台奥の席の方であれば、
ヤルヴィの表情が見えて、うまくいっているところ、いかないところが判っておもしろかったことでしょう。

別の日のブラームス・チクルスの公演もチケットを手に入れて置くべきだったと後悔しています。違う難しさにヤルヴィとオーケストラがどう対処するのか、興味深いです。

もうちょっと触れて置きますと、全体の流れになにか・・・なのかも知れません。強音は素晴らしかったのに対し弱音の魅力にはまだ磨きがかけられるのかな。。。と。

しかし、いずれにせよ真面目な指揮者と真面目なオーケストラのちゃんとした公演には、心より感謝致します。

*****

グリモーもヤルヴィも録音で殆ど聴いていないので、推薦盤のご紹介は難しいのですが、、、

グリモーであれば、つい最近、ブーレーズが指揮するバルトークのピアノ協奏曲全集 国内盤(輸入盤をお探しの際はこちらです)を手に入れました。グリモーは第三番の担当で、この曲は彼女には比較的合っていて、この曲の最良の演奏とは言わずとも、比較的きれいに収まっていると思います。

ブーレーズ指揮 バルトーク:ピアノ協奏曲全集の商品写真バルトークのピアノ協奏曲だから3曲ですが、指揮者ブーレーズだけが共通で、曲毎にオーケストラとソリストが変わるという変わった企画。

1番はクリスティアン・ツィマーマン(ツィメルマン)シカゴ交響楽団

2番はレイフ・オヴェ・アンスネスベルリン・フィル

3番が上述の通り、エレーヌ・グリモーで、オーケストラはロンドン交響楽団

いろいろなオーケストラが聴けて、中堅ピアニストも三人楽しめて、全体としての水準は保ってるでしょうし、バルトークの録音が全て聴ける1枚という便利さもあるので、よろしければ!

1番はちょっと録音が遠目な感じがあります。ツィマーマンはバルトークっぽくない演奏?アンスネスは掴みかねているのですが、この演奏は割合まともでちょっと見直しました。

しかし、このCDなによりも驚くのは第2番の打楽器です。これは聴いてのお楽しみです。

ではまた次回!
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この記事へのコメント
ああん・・・
グリモーのポートレイト大写しのジャケットのCDが欲しい!

ブーレーズが表じゃ、イヤ!
(尊敬はしてますけど!)

・・・ミーハーで済みません。

ブルックナーの「ノンヴィブラート」は、「古楽奏法」という流行的な観点からでなく、オルガン的な響きを出すのに適切だという考えから選択された、というのだったら、嬉しいです。ノンヴィブラート奏法はブルックナーにはピッタリでしょう!
Posted by ken at 2008年06月06日 22:41
http://look4wieck.com/asearch.php?mode=on&k=grimaud

ぜひお好きなものを選んでいただいて!

済みません、記述が判り難かったかも。ブルックナーはノンヴィブラートでなく、掛けまくりでした。

この点、気にしだすと、現代の演奏って、すごい掛けるか、ぜんぜんやらないかの二つしか選択肢がない感じで、もっと微妙な段階があるのかなーー、一昔前の演奏が耳障りでないのは、それかなーなどと、思ってしまいました。(←映像で確かめてみようかな、、、)
Posted by sergejO at 2008年06月06日 23:30
>もっと微妙な段階

1920年代(特に中盤以降)は過渡期ですので、そういう段階の演奏に巡り会いたければ、子の年代あたりから30年代あたりまでをターゲットにお聴きになるといいかもしれません。

ちなみに、現代の演奏家では、少なくとも、ノリントン、ホグウッド、アーノンクールといった有名どころは「微妙な段階」はよく心得ているもんだなあ、と、感心すると同時に勉強させられます。

こういうものを聴く場合は、自分の中の既成の「演奏はこうあるべし」観を捨てないと、ちょっとしんどい思いをするかもしれません。それでも、なれてみて初めて、他の流儀の演奏も「なぜそうなのか」が見えて来る(気のせいか?)ので、役に立たないことは無いと思います。

・・・ビジネスにはしにくい部分かな。
Posted by ken at 2008年06月08日 21:49
ありがとうございます。

前にKenさんが記事で書かれていたものを映像DVDできれいに整理してみたら(私なんかがやるといろいろ聴くところから入らないといけません!)、それなりにいい記事なるかもと思いました。

ホグウッドは結構手に入り難くて勿体ないですね。。。

ついでながら、ついでながら、近年のノリントンなんか苦手で、、、
Posted by sergejO at 2008年06月08日 22:00
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