16日(月曜)の0:40分から、感覚的には日曜の深夜に、NHK BS2で放送されたイタリアの往年の指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini 1867-1957)のドキュメントはご覧になりましたか?しかし、あらためて1867年生まれと考えると、作曲家であり大指揮者だったマーラーが1860年生まれなので、それだけでなんだか感心してしまいます。
BH2で放送されたトスカニーニのドキュメント:《トスカニーニとの会話》と《トスカニーニのワーグナー》
さて、ドキュメントというからには、さまざま音楽関係者・共演者のインタビューがふんだんにあって、「一体、トスカニーニのユニークさはなんだったのか?」を音楽的に考える・・・というものを期待しておりましたが、そうでもありませんでした。そこはかなり残念なところ。
第一部:トスカニーニとの会話と第二部:トスカニーニのワーグナー という二部構成。それぞれ製作は、フランスのIdéale Audience と カナダのFoundry Films、同じくIdéale AudienceとドイツのWDRとなってましたが、クラシックのドキュメントに過去良作の多いIdéale Audienceが主導していたのでしょうか?
第一部:トスカニーニとの会話は、70分ほどの長さ。俳優さんが、大晦日に家族と語らうトスカニーニ一家を芝居しながら、基本的な伝記的事実と逸話を紹介するというもの。途中途中には、プライヴェートフィルムや演奏風景、写真が織り込まれます。放送は日本語への吹き替えでしたが、元の言葉は、俳優の国籍から考えても吹き替えの後ろに聴こえていた台詞からも英語で作られたようす。
俳優さんが・・・となると、どこまで脚本家の創作なのか、、、と身構えてしまいますが、原題は、フランス語でToscanini Par Lui-Même(彼自身によるトスカニーニ)、英語でToscanini in His Own Words(自身の言葉によるトスカニーニ)。冒頭の説明とエンドロールによれば、息子が隠し撮りしていた150分にも亘る会話と手紙や手記を元にしたとあるので、そこは忠実と思って良い様です。(ちなみに上の写真は、トスカニーニの手紙集 Hevey Sachs篇『The Letters of Arturo Toscanini』)
内容的には目新しいことはなくて、折角だったら、録音された音声をそのまま使って欲しかったと思います。もっと、いろいろ興味深い発言もあったと思うのですが・・・
第二部:トスカニーニのワーグナーは、1時間ほどで、ドキュメントといっても解説は冒頭に少々あるのみで、後はトスカニーニのワーグナーの演奏映像とヴェルディの『諸国民の賛歌 』を聞かせるというもの。放送された曲は順に
リヒャルト・ワーグナー
- 歌劇《タンホイザー》序曲(1948年12月4日)
- 歌劇《ローエングリン》第一幕への前奏曲(1948年3月20日)
- 楽劇《トリスタンとイゾルデ》第1幕への前奏曲とイゾルデの愛の死(1951年12月29日)
- 楽劇《ワルキューレ》からワルキューレの騎行(1948年3月20日)
ジュゼッペ・ヴェルディ
- 諸国民の賛歌(1944年)
諸国民の讃歌については、インターナショナルも入ったフルヴァージョンだったのが、ちょっとめずらしかったでしょうか?
トスカニーニのおすすめ名盤(DVD)
上の二種共に今後、DVDで発売予定のようですが、一般的というか平均的な伝記的事実を知って、幾つか貴重なドキュメント映像を見たいといったことであれば、既に発売されているDVD トスカニーニ~ザ・マエストロ(完全版)で十分と思います。
トスカニーニのCDも再発売だ!秘蔵録音だ!と年々ややこしくなるので、「どんな人かな?自分の好みかな?」とまず見当をつけるなら、このDVD トスカニーニ~ザ・マエストロと末尾の五つのDVDから一本お選び頂くのが、無難な選択でしょうか。
なお、細かい話ですが、このDVD国内盤では小生見て居りませんが、収録の『諸国民の讃歌』は英語版オリジナルのDVDだとカットバージョンながら、国内盤のレビューには全曲収録とありますがどうなのでしょう?(トスカニーニのインターナショナルが聞きたいという強い要望なり、特別な政治信条がなければ、特に気にならないと思いますが・・・)
その他、著作で言うなら、上述の手紙やハーヴェイ・サックス著『トスカニーニの時代』などが、基本的なものになるのでしょう。
演奏模様でしたら、数年前に国内盤で出ていたTV放送演奏集がいまはTestamentの輸入盤で入手可能。
- DVD Arturo Toscanini Television Concerts 1948-52 vol.1
1. ワーグナー:歌劇《ローエングリン》第3幕への前奏曲
2. ワーグナー:歌劇《タンホイザー》序曲とバッカナール
3. ワーグナー:楽劇《ジークフリート》森のささやき
4. ワーグナー:楽劇《神々の黄昏》夜明けとジークフリートのラインへの旅
5. ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》ワルキューレの騎行
6. ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調《合唱》 - DVD Arturo Toscanini Television Concerts 1948-52 vol.2
1. ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op.102
2. ブラームス:ワルツ集《愛の歌》Op.52
3. ブラームス:ハンガリー舞曲第1番ト短調
4. モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
5. ドヴォルザーク:交響的変奏曲 Op.78
6. ワーグナー:歌劇《タンホイザー》序曲 - DVD Arturo Toscanini Television Concerts 1948-52 vol.3
1. 演奏会形式でのヴェルディ:歌劇《アイーダ》全曲 - DVD Arturo Toscanini Television Concerts 1948-52 vol.4
1. ウェーバー:歌劇《オイリアンテ》序曲
2. ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68
3. ワーグナー:歌劇《ローエングリン》第1幕への前奏曲
4. ワーグナー:楽劇《ジークフリート》森のささやき
5. ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死
6. ワーグナー:楽劇《神々の黄昏》ジークフリートの死と葬送行進曲
7. ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》ワルキューレの騎行
DVD Arturo Toscanini Television Concerts 1948-52 vol.5
1. フランク:交響詩《贖罪》
2. シベリウス:交響詩《伝説(エン・サガ)》
3. ドビュッシー:夜想曲から 雲と祭り
4. ロッシーニ:歌劇《ウィリアム・テル》序曲
5. ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67《運命》
6. レスピーギ:交響詩《ローマの松》
本日はこのあたりとして、次回は、引き続きトスカニーニの話で、面白いと思った同時代の音楽家の証言を幾つかご紹介しようと思います。
では!













